2017年8月18日金曜日
やっとアメリカもアプレ・エイジング
今日(8/18)の朝日新聞に《米女性誌「アンチエイジング もう使いません」》と、記事が出ている。おお、やっとここに到達したか。五年遅いぞ、と私は思った。2013年2月29日の「36会 aAg-Seminar 開設のご案内」で「主宰 浜田守」さんは、次のように釈明しています。
《「aAgってなんだ?」とお思いの方に、まず弁明。
正面から「アンチ・エイジング」と呼称するのは面はゆく、でも世間体もありまして、このような名称を付けました(世間体は、「会場」をご覧いただければお分かりになります)。漢語を交えて表記するなら「臨床抗齢学会」、和語にすると「寄る年波調べ所」とでも訳しましょうか。聞かれたら、そうお答えしようと、まあ、この程度に考えています。》
微妙なニュアンスが込められています。「アンチ・エイジングと呼称するのが面はゆい」のは、なぜでしょう。”いつまでも若くありたい”というセンスに、そうかなあという内心の思いがあるからです。”歳をとるのも悪くない”と言えないのは、どちらかというと、身体的な劣化が高齢化に連れて目に見えてくるからです。20歳のころを100とすると、60歳の筋肉量は6割程度と言われています。バランスは2割5分、四分の一です。ところが、70歳のそれは、八分の一になります。つまり、60歳から70歳のあいだに、半減するのです。病を別として、脚が上がりにくくなります。当然、躓きやすくなる。ふらつく、転ぶ、階段がつらい、歩くのがのろい。そうこうするうちに、膝が痛む、くるぶしが不安定になる、腰(の痛み)に来る。日々それを自覚させられるのが、60歳からの身体状況です。にもかかわらず、「アンチ・エイジング」というのは自然の摂理に反すると、私たちは内心のどこかで思っています。だから「面はゆい」のです。
では「世間体」とは何でしょう。「(世間体は、「会場」をご覧いただければお分かりになります)」と、ヘンな書きぶりです。じつは会場は、昭和大学。医学薬学で名を売っている大学。しかも会場の世話をしてくださる方が、そこの高齢ベテランの研究者。「アンチ・エイジング」をお題にする講演にも招かれ、あちらこちらで「頑張りましょう」と喋ってきている。まあ、その体面を保つことには配慮しましょうというのが、「世間体」です。
そのあとの記述が、さらにヘンとは思いませんか。《漢語を交えて表記するなら「臨床抗齢学会」、和語にすると「寄る年波調べ所」》と相矛盾する言い方を、恬淡と記しています。じつはこの表記には「解説」がありました。アンチ・エイジングは「抗齢」ですが、アプレ・エイジングは「後齢」。「aAg-Seminar」というのは、掛けことばだと付言しています。「寄る年波調べ所」という意味合いは、身体的な面だけでなく、内面の成熟も視野に入れて、わが身の拠って来る所以に思いを致す、そんな思いが込められていました。五年前です。
さてそれで、今朝の新聞記事。米女性誌「アルーア(allure)」は「美容特集などで知られる月刊誌」だそうです。「年齢を重ねることを否定的にとらえる米国の風潮や美容業界のありかたに、一石を投じた」と記事は解説しています。「米国の風潮」というと、日本の風潮ではないかもと思うかもしれませんね。記者は《「アンチ・エイジング」という言葉は、日本でも美容業界などで広く使われており、(米女性誌編集長)リー氏の宣言は日本にも影響を与えそうだ》と他人事のように付け加えています。私などは、日米の(自然観の)違いということに重きを置いて考えてしまいますから、「アンチ・エイジング」ということばが日米で同じように使われていないというと、どこかでホッとするところがあるのですが、でも市場の論理、商業ベースからすると、日米に差がないという方が、適切だと思いますね。アベノミクスもそうですが、いまだにかつてのバブルの再来を願っているようなのですから。
五年経って、アメリカが私たちに追いついた、そんな感じがしています。こちらに先見の明があったからではありません。こちらは伝統的な自然観と人生観でもって、わが身のことを考えていたからです。ということは五年どころか、「両文化の比較優位」が論題に上がりはじめてからとなると、約百五十年ほどを経て、やっと日本の自然観をアメリカの文化に組み込んで考えていこうという風潮が、海の向こうから自然発生的に起こりはじめている、と読むことができます。
この記事の袖見出しは《「美しさ 若者だけのものではない」――美容業界に再考促す》と、あくまでも表面的なところにとどまって、「この宣言」を評価しています。だが私たちはもう一段深いところで、「寄る年波調べ所」を運営しています。あと半年で五年目を完了する「36会 aAg-Seminar」にご注目ください。
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