2019年2月28日木曜日

着実に年を感じる――赤鞍ヶ岳・菜畑山


 昨日(2/27)、中央本線に沿うように、相模湖の南側から大月へと西に延びる山塊に並行するように走る道志山塊の赤鞍が岳(朝日山)と菜畑山に登ってきた。どこの本であったか、この赤鞍ヶ岳1299mを「道志山塊の東端に位置する盟主である」と記していた。しかし私が思うに、道志山塊には今倉山1470mや御正体山1681mがある。どうして赤鞍ヶ岳が「盟主」なのか、わからない。ただ、道志村役場は、この赤鞍ヶ岳を背にして位置している。また今倉山は都留市に属しているし、御正体山は道志村の西端、山頂を都留市と境を分けているから、「盟主」といわなかったのかもしれない。お膝元ならぬ、村の後背に位置する「ご神体」と考えると、まさに「盟主」である。


 朝9時ころ、その道志村役場前に着いた。「来客用駐車場」に車を止める。役場に入って、車を止めることを断り、トイレを借用できるかを尋ねる。快く了承してくれた。二週間ほどのちに、ここを案内する予定で、下見に来たのだ。少し詳しく言うと、3年半前の秋にこのルートを歩いている。今回は、雪が残っているかどうかをみようとやってきた。

 9時15分、歩きはじめる。登山道入り口、標高590mを入ってすぐに林道をショートカットするルートが、国土地理院地図には記されている。その分岐には、シカ除けの柵があり、人が手で開け閉てする鍵がつけられている。以前来たときには林道を上った。ま、下見だから近道も見ておこうと、鍵を開けて入る。その先は枯れたカヤトが立ち、踏み跡もはっきりしない。土が崩れている。その上の急斜面は倒木が道をふさぐなどして、歩きにくい。上の林道はすでに舗装ではなく、小石がごろごろしている。その先に、「←赤鞍ヶ岳」「←朝日山」の二つの表示が別々の柱につけられている。じつは、国土地理院地図は「赤鞍ヶ岳1299」と記す。昭文社の地図は「朝日山(赤鞍ヶ岳)1299」と表示し、その東に別に「赤鞍ヶ岳1257」もある。どちらが「ご神体」の地元山名なのかわからない。

 スギ林の中を、やはり急な傾斜の上りがつづく。出発して30分ほどで、稜線に乗る。だがそこからが、本格的な急斜面。1299mの山頂手前の「秋山峠」まで、この傾斜はいっそうきつくなりつつつづいていた。山頂着11時ちょうど。1時間45分。コースタイムは2時間15分だから、30分ほど早い。3年半前には1時間半と記録しているから、15分余計にかかっている。これが私の高齢化がもたらす衰退スピードだ。

 山頂から西へ向かう。大きく降ってまた上り、岩殿山を経て再び下ってまた上って岩戸の峰(高丸)1288mに着いたのは、11時45分。ここで15分ほどとってお昼にする。出発したのは12:01。本坂峠(道志口峠)と名のついた、道志村へ下るルートの一つの分岐が、12:17。赤鞍ヶ岳の山頂からここまでが、コースタイムは55分。お昼を差っ引くと、7分余計にかかっている。つぎのマークポイントであるブドウ岩の頭1224mで前回はお昼にしたのだが、ここの通過時刻が30分遅れている。

 前回は、秋の紅葉をカメラに収めている。奥深い峰々の合間に漂う雲とともに鮮やかなカエデの赤や黄色の彩が美しい。今回は枯葉のあいだから道志山塊の峰々がくっきりと見える。アップダウンは相変わらず続き、出発点と最高標点の差、700mの登頂以上に、追加の上り下りが500mくらい加わりそうだ。菜畑山への上り下りでは、さすがに音を上げそうになった。前回はストックを突く様な登り方をしていなかったが、今回はストックを最初から終わりまで使い続けた。

 菜畑山1283m着13:25。ブドウ岩の頭からのコースタイムは1時間だから、55分でやってきたことになる。悪くない。菜畑山の標識が新しくなっている。前回は朽ちかけ倒れかかっていた。ここからは下り一方。20分ほどでTV中継塔に出る。前回は、ここから舗装林道を通らず斜面を降ってショートカットした記憶があった。そのルートを探すが、倒木で荒れてわからない。でも踏み込んだからと探してみる。なんとか林道に下る地点を見つけ、木につかまり、脚を降ろす。

 舗装林道を少しゆくと、大きく降る山道に入る。ここも急傾斜だが、広い斜面だ。やはり枯れたカヤトが現れ、高圧鉄塔の下をくぐるようにして、さらに下ってゆく。山体をトラバースするように下り、「←菜畑山・大久保→」の看板のところで、南の沢の方へ道をとる。沢を渡り和出村へ下る。南に面した山肌を拓いて畑をつくり、人が住み着いてきた。家屋が明るい陽ざしに照らし出されて、ここに住む人たちの安定した心もちを表しているように見える。14時40分道路に降り立つ。そこから車道を20分ほど歩いて出発点に着いた。13:10.出発してから5時間59分。

 前回は、お昼を除くと5時間で歩いたとある。そう計算すると、今回は5時間45分かかっている。この差、45分が私の3年半の衰退指標である。私の身体チェックのための下見であった。雪はなかった。

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