2018年4月9日月曜日

40年後の暮らしを決められるか


 今住んでいる団地の管理組合の理事長に5月末から就任することになり、2月から現理事会や修繕委員会という専門部会に傍聴で出席している。「傍聴」というのは微妙な立場だ。5月の定期総会の議案書はすべて現理事会が提出する。そこで決定された「事業方針」にしたがって、次期理事会が執行する。だが「議案書」の審議は「傍聴」だから、口をさしはさむ立場がない。ところが現理事会を運営する人たちは、審議のところどころで「よろしいでしょうか」と私のほうを向いて訊くのだ。


 当然「いいわけがないでしょう」と言いたいところがあるが、議案をかたちづくってきた現理事会には一年間の「成り行き」がある。その自然の上に「議案」は置かれているから、途中からの「傍聴」者が口を挟んで白紙に戻してやりとりするわけにはいかない。むしろ(こちらの同意を求めるようなことを)訊かないで、すすめてもらった方がいいくらいだ。だが聞かれて黙っているのもヘンだから、一言口を挟む。すると、そのことに関して皆さん沈黙して、以後、触れない。触れないままに、しかし議案書は当初の方向を堅持する。困ったものだ。

 次期理事長としては定期総会の場で「異議」を申し立てておけば、次期理事会が異なった方針を採用してもそれなりに違和感がやわらげられると思って、そのままにしておいた。ところが、定期総会では慣例として次期理事長と副理事長が総会議長と副議長を務めるのだそうだ。議長を務めながら、発言を求めて「異議」をさしはさんでおくのは、難しい。まいったなあ、どうしようと思案している。

 修繕委員会という専門委員会は、建築や修繕に関する経験のある組合員が応募して構成し、理事会の「建築委員」が委員長を務め、理事長や副理事長もメンバーになって、理事会に具申する仕事をしている。なにしろ大規模修繕となると、億単位の費用をつぎ込む。もともとの建物が60年もつと想定されているとしたら、60年後には解体再建しなければならない。今私の住んでいるところは28年経過しているから、あと32年後に建て替えするのかという長期の見通しにも目安をつけて修繕計画を立て、部分部分の補修の、どこをいつ、どの程度やるのかを算段して、資金計画も立案する。「平成の大不況」と言われる現今の経済情勢ですら、東日本大震災や東京オリンピックの建築景気に影響されて、経費が値上がりしてしまっている。そんなこと算入できないよと(建築専門委員からも)悲鳴が上がる。当然のことだ。

 まず躯体の「健康状態」というのを診断する。その方法があるという。そうして現状は「十分健康」と報告がある。でも、30年後、40年後の「補修」を立案すると言っても、こちらの寿命のほうが早く尽きることは目に見えている。そういうとき人は、なにを目安にコトを決めるのだろうと、わが身に問うてもわからぬことを自問する。その、問うてもわからぬことを元にして「資金計画」を算定し、4年後には3300万円不足する、6年後にはさらに3000万円不足する「積立金」をどう調達するのかと「値上げ問題」を次期理事会に投げかけられる。一年前にもその話が出ていたのだが、現理事会は「管理組合費の値上げ」があるから、同時に「長期修繕積立金の値上げ」はできないという理由で、先送りしたわけだ。

 そんな話を考えながら、ひと月半後に控える次期理事会のスタートにそろそろ悩まなければならなくなった。理事のモチベーションを刺激し、力を借りながら進めていくにはどうしたらいいか。所詮素人集団の住民が執り行う理事会であるが、暮らしのベースを整える場でもある。いい加減にはいかないし、皆さん過ごしてきた「世界」が違うから、ものごとと手続きの仕方がやはり、大きく異なる。それがぶつかり合って、うまくことがすすめばいいが。果たしてどうなることやら。

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