2020年3月21日土曜日

キレンジャク


 水曜日に三毳山でヒレンジャクの群れをみてラッキーと思ったのでしたが、一昨日、秋ヶ瀬にヒレンジャクが来ているとカミサンへお知らせが入った。鳥観の達者たちのあいだには、そういう連絡網があり、それが回り回って伝わってくる。なかには丁寧に写真を添付したり、地図にマーキングをして地点を表示したり、人によってはGPSで調べなさいよと謂わんばかりに統計と北緯の経度と北緯の緯度を示して鳥のいた場所を教えてくれる。

 
 今朝はちょうと空いているというので、秋ヶ瀬へ行ってきた。暖かく、風もなく、長袖一枚で寒くない。昨日は強風が吹いていたこともあって、鳥が出てくるにはいい条件がそろってはいた。公園の解放されている駐車場は、いつもよりもたくさんの車がすでに止まっている。皆さん、何処からか情報を仕入れたのであろう、そそくさとピクニックの森へと向かっている。
 いたいた、スコープを担いだり、大きなバズーカのような望遠レンズをつけたカメラを据えつけた三脚をもって、たくさんの人が森の方を覗いている。覗かれている森の方にも、また別の一団がいて、ちょうど九十度の角度をもって、同じ森の中を覗いているのだ。
 と、3羽ほどの小鳥が小道の出口の方へ飛び去る。「あっちへ行ったぞ」と誰かが声を出し、ぞろぞろと移動が始まる。私も、移動する。
 
 小道の外を囲む少し広い公園の散歩道に、あちこちのギャラリーが集まってくる。そのスコープの除く方を見ると、枝に4羽のレンジャクがいる。頭の毛を逆立てるように立てているから、レンジャクだとわかる。ヒなのかキなのかは、尻尾をみないとわからない。双眼鏡を覗くと陽ざしを受けて見事にキレンジャクだとわかる。
 ヒレンジャクより少しばかり大柄だ。顔つきの赤色と歌舞伎役者が隈取をしたような目つきが、風格を表す。こんがりと焼けた茶色に色づいたお腹が、力士のお腹のように立派な感触を与える。垂れた尻尾の先は黄色い。畳んだ羽根の脇に黄色い斑が見える。
 ギャラリーが向こう側へ回り込む。そんなことをすると、キレンジャクも落ち着いて居られないよと思うが、案の定、キレンジャクは右の枝に飛び移る。また人が動く。すると、何羽かのキレンジャクが下の茂みに降りる。何羽かが、右の森へ飛び移る。茂みはこちらからは覗けない。
 右の森の方へ身を移して、レンジャクを探す。いたいた。キヅタの実を啄ばんでいる。ごそごそとキヅタの葉を揺らして、動き回る。頭が見える。尾が見える。全身が見える。というふうに、しばらく見惚れた。いやあ、よかった。
 
 ほかの方々は、まだ見終えそうもないが、私たちは十分満足。今年はラッキーだったねと、三度レンジャクに出会った出会った幸運を言祝ぎながら、帰途に就いた。駐車場に戻って車を外へ出したところで、カミサンに「知らせ」てくれた方が車でやってくるのをカミサンが認めて車を止めるということがあった。鳥観の達者というのは、何度でも「幸運」に浸っていたいというのかもしれない。
  買い物をして帰ると、ちょうどお昼の時間。アメリカ在住の作家から「アメリカの新型コロナウィルス」のコメントが入っていた。NY市などが行っている「外出禁止」というのは、食料品の買い物や銀行、金融関係の外出、日常の運動など以外は、出ると「逮捕」されるという。いやはや、私たちのように振る舞うのは、「論外の幸運」といわねばならないと思った。

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