2019年4月15日月曜日

賑わいのサクラソウ公園


  昨日(4/14)、珍しいことに、田島ヶ原のサクラソウ公園へ行った。珍しいというのは、今日からサクラソウ祭りが行われるからだ。ふだんは、こういうお祭りの日にサクラソウを見に行ったりはしない。しかしちょうど、遠方からの客人があった。そこへ昨年から東京に来て働いている姪っ子が合流する。カミサンがふだん自分のフィールドにしているサクラソウ公園を案内しようと思っても不思議ではない。たまたま祭りが重なっただけではあった。


 お祭りであるために、駐車場が使えない。浦和駅からバスに乗っていった。まだ9時台ということもあって、バスは空いている。車もスムーズに流れる。「サクラソウ公園」は、荒川左岸の広い河川敷にある。秋ヶ瀬橋から3キロほど上流の羽倉橋までの河川敷を秋ヶ瀬公園と呼んでいるが、その最下流に位置している。バス停は、土手の高さにあるから公園全体が見渡せる。手前のサクラソウ自生地はノウルシなどの緑に覆われて見え、その向こうの芝地や桜の樹林に、テントが張られ、舞台が設えられ、いくつもの屋台が軒を連ねて並んでいる。

 サクラソウ自生地の案内テントでカミサンが「今日はプライベートです」と挨拶をしている。ボランティアのガイドが私たちにパンフレットを渡してくれる。自生地の春の花が一覧になって掲載されている。サクラソウは二日前にみた時よりも勢いがある。金曜日の夜に降った雨が恵みだったのだろうか。「この黄色いのが、そう?」とどこかから声が聞こえる。色鮮やかで背の高いノウルシをサクラソウと間違えているのだ。「このノウルシも絶滅危惧種よ」とカミサンが客人に話している。姪っ子はあまり植物に関心はなさそうだ。私は、はじめてここを案内してもらった頃の「わたし」を想いうかべて、「ははは、絶滅危惧種って言えば、わが家にも二頭いるよ」と姪っ子に話しかける。ノウルシの緑とサクラソウの薄赤い色と遠方を縁取る散り際の満開のサクラ色が青空へとつづいて、いい季節になったと思う。

 突然パトカーのサイレンが鳴り響く。振り返ると、駐車場に止めた警備のパトカーの周りに子どもたちが集まり、警察官が何かを話している。アリアケスミレとかアケボノスミレ、ヒキノカサ、ジロボウエンゴサク、アマドコロと花をつけている。シロバナタンポポとかシロバナサクラソウという変わり種もある。ガイドボランティアのジャンパーを羽織った人がカミサンにつき歩いて何かを尋ねている。カミサンは(たぶん)この地のガイドのなかでは最年長に近いのではないか。知らないことは知らないといい、確かでないことを口にしない性分が信頼を得ていると、私は思っている。

 自生地を離れ、広い芝地の方へ出てみると、30人ほどが輪になって埼玉音頭を踊っている。浦和踊りというのは耳にしたことがある。浴衣姿の男性の手の動きがなかなか絶妙な揺らめきをみせて、ほほうと私の内心が感心している。花筏ならぬ花筵になったサクラをくぐりもう一つ向こうの芝地にでると、舗装路に沿って屋台がびっしりと肩を並べる。空揚げや焼きそばなど食べ物屋がつづく中に輪投げや金魚すくいもあって、明るい夜店って感じだ。芝地に大きな青いシートを敷いてドジョウすくいを披露している。その向こうには舞台をつくって、数十人の小学生ブラスバンドが演奏を始める。鼓笛隊のようなユニフォームが初々しい。身に余るようなチューバやトロンボーンを上げ下げし、トランペットを上に向かって吹き鳴らす仕種が、かわいい。

 11時、バス停の方からたくさんの人が降りてくる。私たちはそれに逆らって、帰途につく。おおよそ定刻にバスはやってきて、浦和駅まで運んでくれた。12時少し前にイタリアンのお店に入り、ランチを頂戴する。客人は岡山駅に車で来ているから、お酒は飲めない。私たちも飲み物はなしにして、おしゃべりをつまみに1時間ばかりを過ごす。

 東京駅へ帰る客人と姪っ子を送って歩いて家へ向かう。暖かくなり少し汗ばむほどであった。静かなサクラソウ公園の、賑ぎわいを覗き見た一日だった。

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