2019年5月6日月曜日

なぜ、正義面するのか


 これで連休も終わる。たぶん、TVの令和騒ぎも収まろうから、ほっとする。そう思ってTVをつけたら、夕方の番組で、どこかの河川敷で釣りをしている人とか、畑を耕している人とかを、「それって、違法じゃないですか」と追いかけまわして、追及する番組を放映している。

 河川敷を管理している国土交通省に訴え、ついに国土交通省は「立入禁止」の看板を設けたり、柵囲いを設えたりして、メディアに応えはしているが、それ以上に踏み込む人でもなければ、法的根拠もない。ま、適当にメディアに国有地管理者としての顔をみせて勘弁してくださいよと言っているようだ。


 ところがこのTVメディアは、ここは国有地だってと、えめえとかんけーねえだろうことを盾にとって、占有者を追い回す。占有者も知らぬふりをしたり、「うるせえ」と居直ったり、「てめえとかんけーねえだろう」として、テイコーしている。TVメディアのカメラマンだかディレクターは、「でもここは国有地でしょ」と法的根拠の「所有権」を口にするばかりで、なんとも迫力がない。なんだこれは? とみている私も、疑問に思う。

 国有地なら、わたしらコクミンのもんだ、モンクあっかと居直りゃいいのに。国有地なら「立入禁止」にするって、そんな乱暴な法律はどこにあるんだ。たしかに畑にしたりゴルフの練習場にしたりして占有するってのは、私的に利用して独占するってのも褒められたことではないが、ではではみなさんも、そうなさっては、と少し席を譲るように振る舞えば、それはそれで麗しいことではないのか。

 いまさら入会権などと「権利」の話にするつもりはない。だが、そもそも私的所有権を解除した土地が国有地とか公共用地ではないのか。海岸の利用を私的に囲い込むのを禁じるのも、最小限に抑えようという法律上の制限があったのではないか。

 だいたいTVメディアが偉そうに、法律の執行者のような番組をつくるのは、なぜなんだ。視聴者の卑小な心持に阿っているからではないのか。勝手に公共の土地を、畑にしたり、ゴルフ練習場にしたり、釣り堀のように使いやがってけしからん、と思う人々の劣情に媚びている。どうしてそのように、媚びるのか。それこそが、文化の伝播者として恥ずかしいことではないのか。遵法精神を謗っているのではない。遵法の、根底にある「公共性」は、政府や行政執行者の専有物ではない。もっと端境は、社会の経験則的に積み重ねて、どうするのがいいかを一つひとつ確かめながら、定着するべきところへ落ち着かせていくのが、慣習的なやり方ではなかったか。

 その原点に立ち返り、とりあえずその正義面を取り払い、民衆の、劣情ならぬ視点に立って、社会をみつめるところから、TVメディアも、番組制作をに取り組んでもらいたいと思った。

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