昨日(5/26)、北本自然観察公園に行った。師匠が来週の植物案内をする下見のお供。晴れ、行くときの気温は24℃。naviの案内に任せて、いつもと違う道を辿った。予想していたルート(新しくできた上尾道路)よりもさらに荒川寄りの道へ踏み込む。あとで気づいたのだが、新しくできた道を私の車のnaviは認知していない。ぐるりと回り込んで、結局同じ道路に出た。バカみたい。17号国道を走った方が20分は早く着いたかなと思った。
人影は多くない。入口の芦原からオオヨシキリの声が迎える。鳥友からサンコウチョウがいたよと知らせがあったが、師匠は全く鳥には関心を払わない。ただ歩きながら、「あ、これ、キビタキの声」と私に伝える。ホトトギスも声を立て、「一昨日カッコウを軽井沢で聞いた」と師匠はご満悦。ツツドリは? ジュウイチは? と私は混ぜ返す。コッ・コッ・コッ・コッ・コッとドラムを叩くような声がする。木立が茂る湿地の上を覗くと、薄茶色の躰がみえる。クイナだと、最初思った。双眼鏡を覗くと、躰に白い斑点があり、クイナよりもどっしりとしている。コジュケイよと師匠が言う。それで想い出した。お遍路の旅で一番よく声を聞いたのが、このコジュケイだった。民家の近くが好ましい棲家らしく、チョットコイ、チョットコイと鳴いた最後に、コッ・コッ・コッと尾を引くように始末の声を立てていたっけ。
自然公園の植物はうっそうと生い茂っている。湿地も萱や葦が背を伸ばし、水面がみえない。ときどきみえる水面はちょっと脂ぎって光る。これって、分解が進んでいない泥炭層の尾瀬みたいだが、たぶん、違うんだろうなとおもう。
「よく見ると、水の中にニホナカガエルの脚の生えたオタマジャクシやミナミメダカの姿」とセンターのガイドにあった。探してみるが、一匹もみえない。
師匠は花の終わったスミレをチェックしている。ヒメスミレ、アオイスミレ、ツボスミレ、タチツボスミレ、コスミレと葉を見て指さす。電動草刈り機で草原を切り払う作業が行われている。スミレも首先をちょん切られている。でも根茎が残るから来年の開花には影響ないらしい。5年ほど前に倒れた江戸彼岸桜の倒木から生えて花を咲かせていた桜が、今年はとうとう花も付けなくなったという。あ、これって、老衰と思った。
クララが小さな白い花を連なるように下向きに咲かせて楚々としている。イボタの木が固まるように花を付け、すっくと立っている。芦原に白っぽい緑の穂を着けたクサヨシが広がって緑の中に涼しい風を通している。イチヤガラの花が車の輪っかのように茎の先に茶色に咲いている。師匠に言われて触ってみると、その茎がくっきりと三角形になっているのが、面白い。へえ、いろんな形があるんだ。ヤブマオウとメヤブマオウの葉の末端の形が違うってことも、聞くとなるほどと分かる。
ウグイスカグラが、たくさんの赤い実を付けている。師匠が食べられるよというので、一つ取って口に入れた。水っぽい甘さが口中に広がる。おいしくはない。ガマズミも花が実に変わりつつある。ナツボウズという草が、いかにもその名にふさわしい丸っこい実を一つ付けて、他の草木の間に身を隠していた。あっ、オオシマザクラだと、下を向いて歩いていた師匠が言う。サクランボの実が落ちて踏み潰されているのを見たからだ。桑の実もたくさん落ちて園路を汚している。そういえば、少しばかり柳絮が風にながれ、園路には白い粉を撒いたように落ち、雨に濡れて、やはり道を汚している。
木道の上に、体長の二倍ほども尾の長いカナヘビがいる。日差しを愉しんでいたのであろうか、私たちの足音に驚いたように、躰をくねくねと揺すりながら走って姿を消した。
子ども公園の方では、流れる水につかって泳ぐように遊んでいる3歳児前後の子どもたちの声が響く。小さなテントを張り、もっと幼い弟妹を寝かせているのだろうママたちの姿も、緑に包まれて日差しに揺れる。ああ、緑陰って、こういうのをいうんだ。久々に穏やかな夏の到来を感じた。
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