なんでこんな本を図書館に予約したのだろう。届いたのでさかさかと読んだ。今野敏『マル暴総監』(実業之日本社、2016年)。遠山金四郎ものというか、暴れん坊将軍ものというか。でも、主役でも舞台回し役でもない。主役は気弱なしがない暴力団担当の警察官。その立ち位置が、読む者の気分を代表し、視線を読者の側に引き寄せる。この作家が得意とする警察のヒエラルヒーも、ほんのお飾り程度。事件の捜査も、警察官同士の情報探査や提供の「貸し/借り」、情報屋や暴力団との駆け引きに姿を変えてポンポンと進展し、ミステリーですらない。ただひとつ、警視総監と平巡査というヒエラルヒーの立ち位置がもたらす「権威への平伏」が滑稽に感じられるのは、人生の終幕に身を置いている私の立ち位置によるのだろうか、それとも、時代が「権威」を笑い飛ばすほどにフラットになってきているせいなのだろうか。そんなことを思った。ライトノベルだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿