2017年3月4日土曜日
春、啓蟄の風
昨日は暖かったが、午後に北風が吹いて、夕方には随分と冷えた。今日の午前中は少し強い南の風が吹いて、暖かい。明日は啓蟄。春が間近にやってきている。梅はもう十分すぎるほど咲き誇っている。それより色の濃いカワヅザクラは、花開いてからもう二週間以上になるというのに、まだ花をつけ、公園全体が桜色に染まって、週末の人出がにぎにぎしい。
明日から四国の方へ出かけてくる。父方の祖父(じい)さんの五十年忌。なくなったのは1968年の夏のこと。そのとき私のカミサンは、長男を身ごもっていて棺の祖父さんの顔を観てはいけないと止められたので、よく覚えている。息子はいま48歳になった。私の親父が6人兄弟姉妹の長男だが、三男の叔父が本家を継いだ。その叔父もすでに他界、その息子・私の従兄弟がその跡を継いでいる。わけあって、私はしばらく祖父母の家に預けられて、5歳とか7歳離れたその従兄弟たちと一緒に暮らしたことがあった。従兄弟と一緒に遊ぶことは殆どなかったが、叔父、叔母には世話になった。それもあってか、今回の法事のお誘いがあった。
私の父の年を取った妹・叔母二人が、まだ健在である。もう90歳と86歳の叔母の顔を見ることも、ひょっとしたら最後になるかもしれないと思って、出席することにした。岡山に暮らす私の兄に会いに行くということもある。父も母もなくなってしまうと実家は「ふるさと」になってしまう。「ふるさとは遠くにありて思うもの」である。何かきっかけがないと近寄れない。いまどき「本家」などというのは時代錯誤も甚だしいが、三年前に私の弟や母や兄が亡くなったときに、この従兄弟は葬儀に顔を出した。義理堅い。そんなことでもきっかけにして縁者の顔を見るのも、そう回数が多いわけでもあるまい。セピア色に染まった「親戚の縁」をみて来ようと明日一番の電車に乗って四国へ向かう。
今日は切符を買ったり、お供えを見繕ったり、図書館へ行って届いている予約本を借りたりして、少しばかり歩き回った。上着が要らないと思うくらい汗をかいた。家々の庭や公園や通りの梅や桜の色づきが静かな暮らしの佇まいを讃えているように感じる。外を歩くのがうれしい。私も虫のようにお籠りから這い出して来たように思った。
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