2018年11月1日木曜日
静かな笹尾根を歩く
ここ二週間、晴れの日が続いているのに、山に行っていない。身辺慌ただしいからだが、そうなるとスマホを充電しながら部屋の隅に置いておくだけで、見ることも滅多にしない。たいていのやりとりは携帯電話のショートメールでやっている。昨日は久々に山へ足を運ぶことになって、スマホを手に取ってみるとメールが二通入っている。海外にいる私の旧知の友人・ノブナガさんから10/24と10/28の日付。二通とも同文なのだが、二通目には「ワタシです。メールを見てくださいよ」と悲痛な叫び声のように書いている。歯が痛んで苦しい、医者は歯茎がイケナイというが、この12月に日本に帰る。そのときに診てもらおうか、ちょっと荒っぽいがこちらの医者に治してもらおうか迷っている。ところで、12月帰国の折に会いたいが、都合はどうか。と問い合わせる内容。山から帰ってきて、返信したところ、「不正アドレスのため、送信できません」とスマホのプロバイダから拒絶された。えっ、間違えたかなと思いつつ、きっちりと「返信」にしてみたが、同じ反応。向こうさんもg-mailなので、不正も何もないと思うが、どうしたものだろう。これまでこれでやりとりできたのに、「不正アドレス」ってなんだろう? こうなると、さて困った。海外にいる彼に応答する術がない。このブログでも目にしてくれるといいのだが、12月の帰国を待つしかないのだろうか。
昨日(10/31)も晴れ。湿度も低い。奥多摩の一番奥にある三頭山から東へ伸びる笹尾根を歩いた。といっても三頭山から歩くのは長すぎる。都民の森へ向かうバスも、朝一本だけ。その手前、数馬へのバスはあるからそれに乗って、数馬の少し手前「仲の平」で下車。10時少し過ぎ。「西原峠・槇寄山→」の表示がある。はじめはセメントの道路。ダンプが道を塞いでいるが、ショートカットするルートをたどる。何でも、この辺りの6軒の排水溝が整備されていないので、今やっているところという。急な斜面にたつ家は、しかし、大きくてどっしりしている。
登山道に入ると、いきなり急峻な上り。私はこういうのが好みに合う。上りに、登る。標高660mから槇寄山1168mまで約500mの標高差。1時間半というのが地図にあるコースタイムだが、150mを20分で上っている。この調子だと1時間10分で行ける、と読む。上の方へ行くと、等高線に沿って山体を回り込むようになっている。これじゃあ時間がかかるわとは思いながら上る。でも予想通りの時間で山頂に達する。三角点と山名表示をみていたから気が付かなかったが、南の方を振り返ると、富士山が南の連山の上に顔を出して陽を浴びている。いいねえ。スマホで写真を撮って岡山の兄に送ろうとしたら、「圏外」。
空気が乾燥しているせいか、長袖一枚、汗ばむ気配がない。だが休んでいると冷え冷えとして、まもなく冬がやってくる気配が感じられる。手袋をする。落葉樹はまだ青々として紅葉する様子は千メートルを超えても未だしであった。スマホの地図はヤマケイ関連の会社が提供してくれる無料地図。予め読み込んでおくとスマホを機内モードにしていても、地図上にGPSが読み込まれる。自分がどこにいるか、すぐにわかる。迷子にならない。道を間違えているかどうか、ときどきスマホを覗いて歩く。その地図に行程時間も明示されている。その時間が、私が事前に調べた(何かの本に掲載されていた)ガイドの時間と違っていることに気づいた。もうお昼を過ぎたころだ。
ガイド本の今日の行程は4時間35分。ところがスマホ地図だとそれより1時間多い。ガイド本の行程時間だとおおむね4時間くらいで歩けるだろうから、下山地のバス時刻に楽に間に合うとみていた。ところが、1時間余計にかかるとすると、4時半のバス、帰宅は7時になるか。そう計算して、これはまいった、何とか、ガイド本に合わせて急がねばならない。
そこの土俵岳から浅間峠まで、スマホ地図・1時間のところガイド本・40分、さらに浅間峠から上川乗バス停までスマホ地図・1時間のところガイド本・35分とかなり大きな差を縮めるべく、急ぎ足になる。道は踏み固められている。落ち葉はそれほどなくて歩きやすい。土俵岳の近くで私ほどの年寄りに出逢った。南郷を8時ころ出発して登ってきた、ウズシキに下るという。もうそこで私より2時間余計に歩いていることになる。元気だなあ。また、東屋のある浅間峠で東の方からやってきたアラサーのトレイルランナーにあった。彼は武蔵五日市から走り始め、上川乗に下るという。私と同じだ。「追い越してね」と言いおいて、私は先を急ぐ。でも10分ほどでこのランナーが先行することになった。
広い車道に出たのが、浅間峠を出てから35分。そこからバス停までは15分ほどかかった。つまり私が見たガイド本は、記録した方が歩いたご自分のタイムを記したものであった。スマホ地図は、それなりのコースタイムを心掛けて記載しているのであろう。これを間違うと、ことに陽ざしが早く沈む冬場にかけては、慌てることになる。
ところで、途中であった方が下山するウズシキというのは、笛吹と書く。どうしてこの表記をウズシキと読むのか、逆に、もともとウズシキと呼ばれていた地に、どうして笛吹という文字を当てたのか、不思議だ。そうそうもうひとつ、ウズシキのすぐ近くに人里という字がある。これはヘンボリと読む。なぜそう読むのか、以前にもここを通ったときに、この地に生まれ育ったという湯宿の手伝いの方にきいたことがあった。彼女の応えは、「分からない。子どものころからそう呼んでいた」であった。面白いねえ。こんなことがきっかけで、地名にのめり込んでいった人もいるんだろうなと、思いながらバス停についた。
バス停には、先ほど追い越していったアラサーがスマホをいじっている。私に、どこから? と聞くから今日の行程を話すと、スマホの地図を表示して、えっ、どこどこ? と私が上り始めた「仲の平」を探す。ほら、ここ、と覗き込んで私が指で示す。そこで気づいて私も、スマホの地図を止めてデータをみると、14.5km、4:53:23、と行動距離と行動時間が表示されていた。18000歩ほどの行程であった。私の山の会の方々を案内するには、10時発ではちょっと遅くなる。せめて9時ころにつくバスはないか、あとで調べてみようと、武蔵五日市行きのバスに乗った。これが満員。大半が山歩きの格好をして、疲れ切った表情である。約1時間バスに揺られて駅に着き、順調に電車を乗り継いで帰宅した。5時半過ぎ。
静かな、いい山であった。
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