2017年7月21日金曜日

地理院地図のルートが廃道になる


 冬のコースにどうだろうと、古峯神社から地蔵岳を歩いた。この地蔵岳には、すでに二度登っている。いずれも日光の細尾峠から。そのときは、稜線の末端という感じ、高くなっているほどでもない。そもそも山頂という風格がない、と思っていた。ところが古峯神社に近づいて地蔵岳の銘々由来に気づいた。神社の後ろに三角錐の山体を屹立させている。見事に守護神としての姿を見せる。な~るほど。


 8時半、車を古峯神社の駐車場に止める。すでに1台置いてある。どこへ行った人だろう。ひょっとすると、神社にお参りしているのかもしれない。あとで気づいたのが、山登り用の広い駐車場は、一段高いところにあった。こちらは100台くらいは止められそうだが、1台もない。陽ざしは強い。

 8:25歩きはじめる。駐車場から100mほどのところに、地蔵岳に通じる林道が、国土地理院地図にはある。ところが、入口には「関係者以外立ち入り禁止」の看板と両開きの柵様の扉。車が出入りしていた。私有地なのだろう。そこから300mほど古峰ヶ原峠に向かう車道を登ると「地蔵岳→」の標識があり、車止の向こうに石ころだらけの林道がつづいている。スギと広葉樹の背の高い林が両側に広がり、陽ざしは当たらない。天気予報は「曇り、午後関東北部は雷雨」とあった。たしかに雲は薄く広がっているが、空は明るく、樹林がありがたい。30分ほど歩いたところで林道が終わり、山道になる。標高は900m。いつしか沢に沿って登る道になっている。

 あとで気づいたのが、スマホのGPS表示がこの辺りでとまってしまった。これまでも何度かこういうことがあった。どうしたのかわからない。だが地図は表示されるし、別に国土地理院の地図と市販の地図ももっている。どうしてそんなに持っていくのか。じつは行者だけから古峯神社に下山するルートをとろうと考えていたのだが、国土地理院地図に表示されているそのルートが市販の地図「日光」には、古峰ヶ原峠に向かうルートしかない。「コースタイム」も記載されている。でもまあ、GPSとスマホの地図があればそれで十分とは思っていた。そのGPSがとまってしまったから、まいったなあと思いながら、登った。

 標高1000mを越えたあたりで沢と別れ、急な斜面の登降になる。古峯神社の標高が680mほど、稜線のハガタテ平が1281mだから標高差は約600m。10:00に着いた。1時間半、いいペースだ。いつしか樹林は広葉樹になり、針葉樹もカラマツが多くなる。涼しいし、静かだ。東へ地蔵岳の道をとる。標高差200m余を30分、山体を右へ左へとまわりながら高度を上げる。水平距離で600mの間に200m高度を上げるから、斜度は33%になる。屹立するように見えた地蔵岳の山体にとりついている実感が湧とく。山頂は、以前同様に穏やかで静かであった。ここでお昼はまだ早い。ハガタテ平に戻る。ここから登った道を降れば1時間半で登山口に着く。だが、稜線を歩いて、行者岳からの下山路を探ってみようと、西へ稜線上をたどる。国土地理院地図には標高しか記載されていないが、市販の地図には唐梨子山、大岩岳と山名が記されている。この地図に「金剛童子」とあったのをぼんやり憶えていたのが、災いした。大岩岳の手前で昼食にする。アップダウンは繰り返しあるが、くたびれるほどではない。大岩岳1310m着12時。ここからのルートは青々とした笹原と明るい広葉樹林に囲まれ、快適な稜線歩きになる。30分で行者岳1328mに着いた。

 さてここから、地理院地図のルートへ分け入る。12時半。いかにも「分け入る」というのにふさわしく、踏み跡はない。でも、進めばわかるだろうと入り込んだ。たしかにうっすらとそれらしき履み跡。だが200mもいかないうちにササラに覆われてしまう。GPSが止まっているから、自分で自分の位置を確認するしかない。山体が別れているあたりで、左へのルートをとる。地図上ではここからぐるりと回り込むように降るはずだが、その先が急傾斜面になって、踏み跡らしきものはすっかり消えてしまっている。もう一度分岐のところへ戻って直進してみる。こちらはササが少なく、枯葉が堆積している。らしき履み跡はあちらにもこちらにも見える。だが、こちらも急傾斜になってらしき踏み跡は完璧に消えている。こりゃあ駄目だと判断し、行者岳へ戻ることにする。戻っている途中でトラバースして古峰ヶ原への下山道に踏み込めばいいと思いつく。これが失敗であった。

 トラバースして明らかに登山道に出る。既視感がある。ふとこれは戻っているのではないかと脳裏をよぎる。天を見上げるがちょうど13時ころ、頭上に遭って樹林と薄曇りに遮られて定かにわからない。ままよと歩を進める。と、「金剛童子」の標識がある。(地図にあった)という確信が意を強くする。30分進めば(たぶん)古峰ヶ原峠の分岐に出ると思いつつすすむ。そして見事に30分経ったところで、「大岩山」の標識が眼前にあった。「えっ、もどったの?」という溜息が出る。見事に間違えて、30分戻ってしまった。そこから行者岳に引き返す途次のしんどかったこと。左足までが痛みはじめ、こりゃあたいへんだと負荷をかけないようにすると右脚が重くなる。這う這うの体で行者岳に再び戻る。13時50分。

 そこから30分で古峯神社のへの分岐がある鳥居に着き、標識に沿って神社への登山路をすすむ。並行して走る自動車道がときどき樹林に間にみえる。車道に出て古峰ヶ原峠の標識と古峰ヶ原への案内板が掲出されている地点を過ぎる。また車道を離れて登山道に戻る。そちらは古い石段や木製の階段がところどころにしつらえられ、苔生して滑りやすい。沢もわたる。古い石碑が立ち、その脇に「自然歩道」という標識が置かれている。車道はくねくねと大回りしているから、登山道の方が短いが、歩かれている様子はあまりない。古峯神社まで4.2kmとある。

 こうして15時半ころに駐車場に着いた。7時間の行動時間であった。

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