2017年10月23日月曜日
台風一過の山日和になるか
朝方台風が通過したようだった。自転車置き場の屋根に落ちる雨音が高くなり、大粒だなあと思った。いつもなら雨でも、布団をあげるときに窓を開けるのだが、今日そうしなかったのはどうしてだろう。風が強くて吹き込むことを心配したのだろうか。
TVは選挙結果のことばかりやっている。すぐに消した。新聞を読み終わり、朝食を済ませて歯の薬を飲んでいるときに、そうだ、痛みはもうないのに、まだこれを飲み続けなければならないのだろうかと思った。五日分をもらって、ちょうど半分飲んだ。受け取るとき、たしか、抗生物質とか言っていたが、どうするんだろう。薬局へ聞きに行けばいいんだ。外を見ると、陽ざしが出ている。風が強いらしく、ざわざわと木の葉の擦れる音がする。
「出かけてくる」
と、洗濯物を干しているカミサンに声をかける。
「どこへ?」
「薬局。痛くなければ飲まなくていいか、聞いてくる」
「オチさんとこへ返すものもあったでしょ」
と、言われて思い出した。肩が石灰化して痛んだとき、腕を吊るす補助具を借りていた。もうつるす必要はなくなり、洗っておいたのを返さなければならない。
「ああ、寄ってくるよ」
「ついでに高橋クリニックへ寄って、私の薬の処方箋を頼んでおいてくれる。あとで取りに来るからと言って」
という。薬局のそばだ。
「ああ、いいよ」
と応えて、診療カードと保険証を受け取り、家を出る。ドアの外に落ち葉が、風に吹かれて舞っている。もう一度玄関を開けて、
「落ち葉が舞ってるよ」
と声をかける。
「うん、あとでやっとく」
と、リビングの方から声が返ってくる。
外は明るい。青空も見えている。風は強いが冷え込みはしない。上に長袖を一枚羽織っているだけなのに、歩いていると汗ばむほどだ。オチ医院では手渡すだけ。そこからずうっと住宅地を通って高橋クリニックへ向かう。大宮舌状台地の高低差を上ったり下ったりしながら、道路の陽の当たる側を選んで歩く。日影に入ると、やはりちょっと冷える。ごみの回収車が脇を追いこして行き、先の信号を右折しようとウィンカーをしばたたかせている。花見好きの朱い実が強い風に飛ばされてたくさん歩道に落ちている。
高橋クリニックも受付に依頼するだけ。台風のせいだろうか、受診者は少ないようだ。薬局へ行って、聞き忘れたのだがと前振りをして、訊ねる。二種類の薬のひとつは全部飲んでくれ、もう一つは後の抜歯を控えているようだったら、飲んでおいた方がいいが、そうでなかったら、飲まなくても構わないと、丁寧な説明があった。医院も薬局も、応対が穏やかだ。素っ気なくもないが、愛想を振りまいたりもしない。要件を機能的にてきぱきと処理しながら、丁寧さを欠かさないといおうか。
線路際の道を歩いて家へ戻る。戻りながら、このまま明日から晴れるのなら、どこか山へ行けるなあと思う。帰宅して、どこの山へ行くか、さっそく地図を出して探る。会津高原尾瀬口駅から4kmほど入ったところから登る荒海山1581mというのが目にとまる。駐車場から往復するルートは5時間半ほど。一部が滑り易くて手ごわいとある。下見にちょうどいいかもしれない。でも、せっかくだから、その北にある七ガ岳1636mも4時間半ほどで面白そうだ。そうだ、会津高原尾瀬口駅から徒歩1分という温泉に宿をとって、明日、明後日と登ってこようと、アプローチ、コースタイムを書きだし、地図をプリントアウトする。
いやそれよりもまず宿だ、と電話をする。すると、
「素泊まりですか? そう二食付きですか・・・。宴会が入っていて、申し訳ありませんね」
と、断られた。もう一件、三滝温泉というのもあるから、そちらへも電話をする。
「いつですか? 明日はちょっと無理なんです。ごめんなさい」
と、こちらは事情を尋ねることもしなかった。
傍らで聞いていたカミサンは、「えっ」と驚いたような顔をしている。台風一過のウィークデイなのに、いっぱい? でも、どうしてなのだろう。いや一人というのが理由かもしれないと私は思った。ときどき、「お一人様はお断りしています」とはっきり言われたこともあるからだ。あとで、「素泊まりです」と言えば、良かったのだろうかと思ったりしているが、まあいい。ならば、日帰りで、七ガ岳だけでも行ってこようと肚を決め、山支度をした。
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