山の会の9年間の活動をまとめて本にしようとしている。去年の師走になって「写真もつけるといいかも」と出版社から提案があり、写真の整理をはじめた。だが1万枚近くもある。どのように絞ったらいいかも決めないまま、取りあえず関係する写真をUSBに入れ、本の章ごとに分けることにした。しかし、1万枚ほどもある写真をそのまま分けても意味がない。とりあえず、一つの山につき10~20枚に絞っていき、後にそこから2~3枚を選ぶようにしようと考えた。その第一段階に手をつけたところへ、出版社から編集最新情報が寄せられた。
「BOOK形式へのテキスト流し込みにつきましては、来週いっぱいくらいで終わりそうとの報告を受けております」
おおっ、もうそんなに早く仕事が進んでいるのか。ならば写真の選択も急がなくてはならない。テキストの流し込みが出来上がれば、構成に取りかからねばならない。写真どころではなくなる。これまで、原稿を入れて「急ぎません」とのんびり構えていた。じゃあ、やっぱり3月に入る頃には仕上げると考えてくれていたんだ。
そう尻をたたかれて、ピッチを上げた。どうやったか。
写真のうち、その山からの眺望景観に関するものを2~3枚。植物動物昆虫などに関するものを2~3枚。山の会の人たちが登って悪戦苦闘している姿を2~3枚に絞ると決めて、一山40~100枚のうちからピックアップする。そう決めて取りかかると、バサバサと切り捨てることができる。
こうも言えようか。私の決断力というか、物を捨てることに対するわだかまりはわが身の裡で分節化できないことに由来するとわかった。分節化して選り分けると、細かいことにこだわらない。記事を一つひとつ読みなおして、その山に関して何に強い関心を惹かれていたかということにまで思いを及ぼして、写真と記事とを連関させようとしたら、とんでもなく時間がかかる。でもそんな振る舞いを,これまでの私はしていたようだ。
こうしてとりあえず、一山10~20枚をピックアップしていっている。ようやく9年の半分が終わった。あと2日で残り半分を広い、その後に、さらに一山3枚くらいを拾ってゆく。そう段取りを決めたらずいぶん捗ったような気がした。
ただ、捗らない理由がもう一つわかった。目がしょぼしょぼするのだ。つまり躰がついていかない。むろん飽きてくることもないわけではない。だがそれ以上に、パソコンの前に座って同じ作業を繰り返すことに、躰が「飽きる」。悲鳴を上げるほど突き詰めた作業ができるわけではないことがわかる。若い頃は、というか、仕事をしていた現役の頃には、外部の時間に合わせて作業を進めることができた。身体に無理が利いたってことかもしれない。いまは、(何をしゃかりきになってやっておるのか)と内心の声が身の裡に響く。つまりリミット手前のところで、ブレーキがしっかりかかり、身体が拒否反応をするようになっているのですね。
現役の頃には、外からの要請に合わせた。アタマがカラダに勝っていた。それが引退してもう20年にもなると、カラダの方が強くなってきた。とうとう「己の欲するところに遵って矩を越えず」って風になった。いまさら巻き戻すわけには行かない。
そういうワケで、しょぼしょぼとデスクワークをしている。
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