朝新聞を読んでいたカミサンが「大高取山って行ったことある?」と聞く。「いや知らないなあ、どこ? それ」「越生だって」。というので地図を取り出して調べてみたら越生駅から歩き始めて越生駅へ戻ってくるルートがある。新聞は「越生アルプス」と名付けて市の観光協会が売り出し中というもの。連休にどうぞというワケか。約4時間。じゃあ行ってこようと電車に乗った。
9時には歩き始めていた。いくつもルートがあって、どれを辿っているかスマホでチェックしながら登山口へ入り、かなりの急登をずいずいと上る。やはりまだ脚の筋肉が戻っていない。疲れる。途中で三人追い越した。ストックを出したのは急登が終わる頃。バランスの悪くなった高齢者には四輪駆動が矢っ張り心強いと思いながら、1時間半。大高取山に到着。英語でおしゃべりしている女性ハイカーが二人。静かにしてくれよと思うが、もちろん言わない。
ここから桂木観音まで尾根を縦走する。ここまでは車道が通っていて展望台が設えられている。この車道を辿り途中で山道に入って尾根上を辿って越生駅へ向かう予定だった。ところが、小学生の集団が、クラス毎であろう、3,4組に分かれて上ってくる。先頭の教師らしいのが「こんにちは」っていうもんだから、後に続く子どもたちが、こんにちは、こんちは、ちわ、と五月蠅い。それに気を取られていて、山道へ入り損ねた。地図には、その下にも越生へ抜ける山道があるように記されている。車道をショートカットする道に入り込み抜ける。ところが、出た車道が地図の車道とは違うようだ。
ちょうどそこへ軽トラがやってきた。運転していたお年寄りに尋ねると、「山の帰りかい? 何処へ帰る?」と聞く。「ん?」とは思ったが東上線の駅名をいうと、「越生駅じゃなくてその二つ坂戸寄りの東毛呂駅の方がわかりやすい」と教えてくれた。ま、いいか。こうして東毛呂駅に着いた。行程3時間余。
軽いハイキングだったなあと思いつつ電車に乗ろうとしたら、スマホと一緒にポシェットに入れていたパスケースがない。なんてことだ! 落としたのだ。これまでにも二度、そういうことがあった。一度は北海道の山を歩いたとき。紛失届を出して、クレジットカードなどを再発行して貰った。もう一度は、サクラソウ自生地を歩いたていとき。この時は、ないことにすぐ気づき、歩いた行程を戻って落ちているのを見つけた。これで、三度目だ。
東毛呂駅には駅員がいない。外のタクシーの運転手に交番の場所を尋ねる。隣の駅にあるという。電車でそちらへ行き、駅前交番で「遺失物届」を出す。受付番号を記したカードを出し、見つかったら入間警察署へ取りに来ることになりますがいいですかと聞かれ、よろしくとお願いして駅のホームに上がり帰宅の電車待ちをしていた。と、スマホの電話が鳴る。越生の交番からだ。落とし物が届いているという。もちろんすぐに取りに行くと返事をして、下り電車に乗った。
届けを受けた東毛呂交番はすぐに近場の交番などに「遺失物届けが出た」ことを、私の連絡先電話と共に流したのだろう。すでに落とし物を受け付けていた越生交番が私に電話をしてきたってことか。いや、良かった。
越生交番は駅から1㌔ほどの距離にあった。受付カードと引き換えにパスケースを手にすることになった。何と落ちていたのは、まだ登山口に入る前の街中。拾ってくれた人は「お礼など要らない」と名乗らずに立ち去ったとお巡りさんは話してくれた。いや、本当に良かった。二度あることは三度あるというより三度目の正直と言うべきか。
拾った人の正直? いやいやそうじゃないよ。私がすっかり末期高齢者になったってことの正直な表出ってことよ。
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