2020年1月19日日曜日
話者と聴者のイメージギャップ
今日(1/19)の午前中は、アンチの修繕専門委員会。午後は、やはり団地の「給水管等更新工事設計に関する説明会」。前者は、12名ほどの専門委員会だが、後者は住民の約半数が参加する。
前者は大きな課題をひとまず片付けているから、部屋のリフォームに関する「承認事項」と引き続き検討している「給湯器の背面板の下半分を覆う風水害について」。前回おおむね結論が出ていたのに、委員長のちゃぶ台返しがあって、持ち越していた。
今回は副委員長が「提案文書」をまとめ、若干の文言修正で運ぶかにみえた。ところが、委員長が横槍を入れる。反対しているのではない。この「提案」に書かれていることは、管理組合が責任を持つべき当然の業務であるから、「総会で改めて決議する必要はない」というもの。だが、漏水事故が起これば管理組合が全面的に修復責任を負う事項だが、その漏水事故を避けるためには、関係住戸の専有部分である給湯器の背面の下半分に、防水措置をしてもらわねばならない。その両者が「関係している」という再確認である。
関係住戸がそれを行うかどうかは持ち主の判断に任されるが、やってもらわねばふたたび漏水事故が起きる可能性は大きい。修繕費用は一件当たり数十万円になる。ところが、簡易防水措置を施すのに必要な資材を管理組合で一括購入すると、関係住戸50戸余全部の分を負担しても1、2万円ほどで済む。1戸当たり500円弱なら、管理組合が呼び掛けて資材を用意し、背面の防水措置を施すのだけ、各戸居住者全戸にやっていただく。もし必要ならば修繕専門委員会がお手伝いする、という提案。
前回ちゃぶ台返しをした委員長は、今回それには同意した。だが上記の措置に付け加えて「防水措置を施していても漏水事故が生じた場合には、管理組合がその因を調査し、修復の責任を負うと総会において再確認する」という部分は、無用だと委員長はいう。副委員長は、居住者の事故防止措置を促しながら、なおかつ、管理組合の責任を確認することで、双方で共同して対処していきましょうというほどの思いを込めていたと思われた。じっさい、別の方から「防水措置をしていないところで漏水事故があった場合は、どうなるの?」と質問があり、行間には「ぜひ、責任をもって防水措置をしてください」という趣旨が込められている、「再確認は必要」との声もあった。だが、委員長は、管理組合の当然の業務を再確認する必要はない。「総会で再決議するというのは、たいへんなことだ」と力説する。
委員長は、副委員長の「(起こっている事態に居住者と管理組合の双方が)バランスを取る」というのを無用と言っているのかと思ったが、どうもそうではないらしい。「一般論になるが、各住戸の専有物に関して、管理組合が責任を負ってくれという要求が増える」という。「どういうケース?」と問うが、「一般論です」と提示はできない。「たいへんなことなんだ」と繰り返すから、「どういうこと?」と訊ねるが、ご本人もよくわからないようなのだ。まいったなあ。こういうのって。結局、どう文言をまとめて総会に提示するかは理事会にまかせる、として散会した。
つまり、何か大切なことをイメージしているのかもしれないが、言葉にならない。とどのつまりは、ご本人が言葉にできるまで待つしかないが、協議の時間には限りがある。ほかに反対者がいないのであれば、ここは、委員長と言えども、引き下がるしかあるまい。
もうひとつ、午后の「説明会」。建築コンサルティング会社が給水管更新のことについて、居住者の質問に答えている。市の水道管からの直結増圧で、現在の給水状況に変化がどう出るのかという質問。説明している業者は、現在の水の出と較べて、5階は変わらないとすると、1階は水の出が悪くなったように思うだろうと説明する。つまり直結方式にすると水圧は均等化するらしい。質問者は、「えっ、どうして? 下の階の方が水圧は強くなるんじゃないの?」と再質問。業者は、あくまでも5階の水の出を現在と同じにすると、1階はいまより悪く感じるかもしれないと繰り返す。イメージの起点が、すれ違っている。
これもまた、それぞれの説明者と受け取る人とのイメージしていることが違うから、生じている「不具合」だ。こういうことって、日常的に案外、多いんだね。「社会の国語力が落ちた」と佐伯啓思がいうのは、話者ー聴者のイメージが多様になり、容易に想定できなくなっているのかもしれない。ことばに頼ることばかりが多くなって、表現もまた厳密になって、めんどくさくなっているのかなあ。そう思った。
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