2018年6月22日金曜日
私の2045年
シンギュラリティが2045年に起こると見立てたのはカーツワイルだが、もちろんそのとき私は、生きてはいないだろうと考えてきた。生きていたら103歳、そうか、私の母親は104歳で身罷ったから、おおよそ不可能な数字ではないかもしれない。ところが最近、ひょんなことから、私の2045年問題が降りかかってきた。
舞台は私が今住む団地。もう築後29年目に突入する。中古の団地だ。130戸ほどが暮らしている。まわり順だが、その団地の理事長になった。大規模修繕が終わったばかりだから、今年はたいした仕事がないと思っていた。ところが案に相違して、五年後の給水管・給湯管の更新工事がある。その時の「修繕積立金」が3300万円ほど不足すると、前の理事会が(専門業者の作成をした)「(長期修繕の)サイクル表」を提出し、5年後の工事に間に合わせるように「値上げをする」と、今年度の私たちに「お役目」を振ってきた。いやも応もない。通常総会で議決され、取りかかることになった。
手順がある。理事会は建築関係にも素人だから、「専門委員会」に「付託」して「値上げ」の素案を作ってもらい、理事会で決定して来年の「通常総会」に掛ける。一年間の準備期間があるから、慌てる必要はない。そこで、「付託事項」を今月初めの理事会で決定し、先週の専門委員会にかけてお願いした。基本趣旨は「2022年度の不足資金を自力で賄うことを第一目標とする」とした。
ところが、「通常総会」の議決に基づいていることから説明をしていると、「3300万円不足とは書いてあるが、それを調達しろとは決議していない」と妙なことをいう専門委員がいる。この方はもう何年もこの委員会に属して、この団地の建築関係を取り仕切ってきた方らしい。「どういうこと?」と問い返す。と、「2022年という短期的な見方ではだめだ。2045年という先を見越して資金調達のプランニングをするべきだ」という。なるほど長い目で見て、どれくらい必要かと考えるのは、大きな計画には不可欠だろう。でも、「サイクル表」があるとはいえ、いまから27年後を見越して資金計画を立てるなんて、建てる方はいいかもしれないが、資金を出す方はまるで五里霧中ではないか。もちろん、2022年の資金調達を目指すことが、2045年の資金調達の支障になるというのなら、考えなくてはならないが、何度聞いても、「近視眼的な目ではだめだ」としか言わない。とうとうほかの委員が、あなたの2045年を見越したプランニングというのを見せてくれないかと問うて、次回(来月半ばの)委員会で開陳してくれることになった。そのせいもあって、「付託事項」は受け入れてくれるとも入れないとも、わからないことになってしまった。困ったものだ。
そうそう、そのときその老練の委員は、「fさん、あなたの付託では……」と言い、私が「これは私の私案ではなく、理事会で承認されたことです」と返したが、ひょっとするとそのあたりに、私に対する存念があったのかなと、思わせた。
「概略」しか考えていないが、私は、「サイクル表」に基づいて2045年までにどういう資金需要があるのかを一覧表にしてみた。その老練の委員が言うように、2022年だけをみていたのでは「わからない」部分がある。というのは、いま値上げしても2022年に「赤字」になるけれども、その赤字が2年程続いたらその後は黒字に転じ、次の大規模修繕の2031年までは黒字が続く。そしてまた2031年に「赤字」に転じ、その状態が3,4年続いて三たび黒字に転じる。そうして、2045年の大規模修繕でまたピークを迎えて「赤字」になる。つまり、ピークが9年から14年の間を置いて三つあり、ピーク以外の時期にそれが埋め合わせられていくという格好なのだ。
その2022年のピーク時の「赤字」をどう乗り越えるかが、今の理事会の課題なのだが、前提とされている「サイクル表」の工費がどれくらいの振れ幅で考えておけばいいものか、その業界に全くの素人である私には、皆目わからない。そこを専門委員会にサジェストしてもらいたいのに、2022年という短期では取り合わないと言われては、はてどうしたものかと、立ち往生してしまう。
聞くところによると、彼の老練な専門家は「駐車場料金の値上げ」を考えていたらしい。だが私はそれを受け容れなかった。というのも、「周辺駐車場の使用料金に比して安い」と決めてかかって、「料金改定を検討する」と「通常総会」の議決にもあるからだ。だが「改定を検討する」であって、「値上げする」ではないことから、早々とそちらの方の理屈をこねて、封じてしまった。つまり、「周辺の駐車場は私有地を借りるもの。だがわが団地の駐車場の固定資産税や都市計画税は私たちが分割して支払っている。もし周辺駐車場というのなら、戸建て住宅地の駐車場にどれほどのお金がかかっているかも参照しなくては公平の原則に反する」として、「長期修繕の資金不足と駐車場使用料の改定は関係ない」と退けておいた。しかも、「駐車場使用料は安いのか」として、固定資産税などを槻割にして駐車場にかぶせると、2000円ほど余計に支払っていることになる。つまり、周辺市場価格と500円くらいしか安くないのだ。しかも、ここの駐車場の管理はすべて自前でやっている。むろん消費税も関係ない。そうやって、出口を塞いでしまったのが、沽券にかかわったのだろうか。
そういうわけで、いま2045年を見越した「資金不足」をどの程度にとどめるか。その前の2022年の資金不足を、まずどう乗り越えるか、エクセルの一覧表を前にして、思案投げ首なのである。いま.私が支払っている「修繕積立金」は月々9300円ほど。これを5000円上げるか、3500円上げるかという判断を迫られている。だが棟ごとに積立資金は別々管理とされているから、資金が不足している号棟によっては7000円の値上げでも十分ではないというところもあって、これがまた、なかなか同意の得られないところなのだ。まああと一年の攻防がどうすすむのか。また機会をみて、ご報告申し上げよう。
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