2019年8月31日土曜日

プランニングと心の習慣


 山の会の山行計画は、半年単位で立てて、皆さんにお知らせしてきた。月例は基本、水曜日とも決めた。立案前の山行時に、どんな山に登りたいかとも聞く。こんな山を考えているとも話す。こうして、ふた月前の泊りの山行の折に半年間の計画をまとめて提示する。会の皆さんは、それに合わせて、その後半年の暮らしの計画をはめ込んでいく、というふうに。

2019年8月30日金曜日

苦しみを楽しむ


 昨日「槍ヶ岳・表銀座縦走」の山行記録を書きあげ、今朝、それに写真をつけ、pdfにして山の会の人たちに送った。全部で18ページという大部になった。

 送り終えてTVをつけると、NHK-BS1で「奇跡のレッスン 陸上長距離」をやっていた。イタリアから来た世界的な長距離走のコーチが、東京の中学の駅伝ランナーを一週間指導した記録だ。陸上の長距離は、登山に似ている。ランニングの姿勢は歩行技術だ。もっぱら遅筋を上手に配分して使い、急登や岩場などでは速筋も必要になる。なにより、他の人と(順位を)競うというよりも自分との闘いがモンダイというう向き合い方が一緒だと思う。

2019年8月29日木曜日

槍ヶ岳・表銀座縦走(5)俗世界への結界を抜け、休養態勢に入る


 第四日目(8/22)に槍ヶ岳山荘から徳澤園まで歩いた行程は、21km余であった。私のスマホの歩数は39000歩余。下った標高差は1500mほど。ひとつ面白いことに気づいた。

2019年8月28日水曜日

槍ヶ岳・表銀座縦走(4)まず満点の山行であった


 夜中に目を覚ますと、大雨が降っているような音がしていた。まいったなあ、穂先はあきらめるしかないか。4時に起床。外へ出てみる。雨粒が大きい。一応皆さんには「小降りになれば穂先に登ります。朝食前に登ってくる場合もあります。その心づもりをしておいてください」と伝えて、下山時の荷物のパッキングをしてもらった。ysdさんが「筋肉痛がひどいので、穂先へは遠慮したい」という。3人でも登ろう。そう思いつつ5時前、外へ出てみると、霧は深いが雨はやみ、風も少し穏やかになっている。

槍ヶ岳・表銀座縦走(3)時代が変わるが、人は変わらずか


 朝食は5時から。4時に起床し、準備を整える。東の空には高さ4000mほどのところに雲がたなびき、常念岳に連なる山のシルエットと上空の雲のあいだが明るくなる。5時13分、朝陽がそこから顔を出す。濡れた衣類や雨具などは生乾きだった。この小屋は、お弁当はつくらない。槍ヶ岳山荘へは行程で4時間、槍沢小屋へ下っても3時間という短時間で着くからだ。今日の私たちは、4時間というコースタイムが気分を軽くしている。関西からの人たちは朝食もとらず、4時ころに出発したと聞いた。

2019年8月27日火曜日

槍ヶ岳・表銀座縦走(2)花に彩られた大岩の堆積した喜作新道


 登る前の天気予報「燕岳のてんきとくらす」では、8/19は曇りのち雨であった。午後3時ころから雨という予報は、夏の山の天気としては当たり前といえば当たり前、いわば夕立のようなもの。では、縦走にかかってのそれはどうか。「てんきとくらす」では三日間は「A」、つまり「適」だったのである。徳澤から上高地に出る最終日がまた、雨になるか。でも、ほぼ平地を歩くようなものだから、残った疲れはあろうが、気分よく、この山行を終えることができると算段していた。

槍ヶ岳・表銀座縦走(1)いざ、合戦に


 穂高駅は閑散としていた。松本で特急あずさから乗り換えた大糸線の普通電車だからだろうか、ザックを担いだ人は私たち以外にいなかったようであった。タクシーは、私たちが予約した一台だけ。すぐに20km余の中房温泉登山口に向け出発した。今朝早くにも登山者を運んだ、今日は二度目だと運転手はご機嫌だ。早朝組は、車を穂高駅付近において北アルプスを縦走し、上高地へ下山後にここに戻ってきて帰途につくいう。

2019年8月25日日曜日

文化の細いきずなとナショナリズム


 大澤真幸が「想像の共同体」を梃子にまとめたナショナリズムの五点の特徴をもとに、さらに踏み込んで話をすすめていきたい。
    ① 「知らない者同士」が国民である。
    ② ネーションは「限られたもの」である。
    ③ 共同体を構成するメンバーの平等性
    ④ ネーションは「客観的には新しいのに主観的には古い」というねじれをもつ
    ⑤ ネーションは基本的には文化的な共同体だが、政治的に自立した共同体でありたいと強い欲求を持つ。
 
 ①が「国民」という一体感のベースになるのは、「俗語/口語」の共通性だと前(8/11)に述べた。それは同時に、「共通性」をもたないものを②として排除するモメントをもつ。つまり、②のモメントが発生することによって①が保たれているともいえる。

2019年8月23日金曜日

雨の中の槍ヶ岳


 先ほど、5日ぶりに山から帰ってきた。いわゆる表銀座コースをたどって槍ヶ岳を目指素コース。帰るなり「どうして天気のいい日に行かないのよ」とカミサンにいわれた。ひと月も前に山小屋は予約した。台風が来るというのでハラハラしながら見ていたが、四国に上陸して大きく北に回り込んでくれたから、行く前々日まで「槍ヶ岳のてんきとくらす」は、初日を除いて「A」が3日続いていた。徳澤から帰宅する日に天気が崩れるが、ま、雨の小梨平もいいかもしれないと思っていた。ところが、出発当日に「てんきとくらす」をみると、全日「C」になっている。「登山不適」の表示だ。そして予報通り、毎日雨と霧と強風の中を歩いて槍ヶ岳の穂先にも到達し、先ほど帰宅したというわけ。

2019年8月19日月曜日

一つの画期


 いまから山へ出かける。山の会の人たちと一緒に、表銀座縦走の槍ヶ岳、4泊5日。ずいぶん余裕の日程を組んだ。何しろ後期高齢者二人と60歳代二人だ。十数人いる山の会の人たちも、着いてくることができなくなった。順調に年をとっているからだが、寄る年波には勝てないと思い込む「壁」が立ちはだかっているように思う。むろんそれはそれで、悪いことではない。身体の調子と心のレベルが見合っていると、事故は少ない。自己判断して参加するのを原則としているから、ほかの方々を頼りにしないのが、いいありようだと私は考えている。

2019年8月18日日曜日

目に見えない自然とわたし


 デイビッド・モンゴメリー&アン・ビクシー『土と内臓――微生物がつくる世界』(片岡夏美訳、築地書館、2016年)を読んで、この本はタイトルで失敗していると思った。「土と内臓」では、まるで専門家に読ませるための本のようだ。この本の原題は「The Hidden Half of Nature」、直訳すると「隠された自然の半面」である。だが読み終わって私が抱いた感触は「目に見えない自然の不思議とわたし」。

2019年8月17日土曜日

霧ヶ峰の天気


 一昨日から霧ヶ峰に行ってきた。台風が来ていることもあってか、15日は強い風が吹き、深い霧に山は閉ざされていた。大人二家族4人、子ども3人。いとこ同士。だが「子ども」という小学生は、もう一人になった。あとは中学生と高校生が一人ずつ。舞台回しは、無邪気な小学生だけ。中学生と高校生は、親や爺婆に付き合っているだけ。

2019年8月15日木曜日

何が面白いのか、不思議


 一昨日から息子一家が来て、にぎやか。応接するカミサンはたいへんだが、私はそばを打つくらいしかできないから、くたびれるわけではない。
 昨日は、娘の案内で、どこかへ遊びに行くという。前もって私も案内を受けたが、この暑いのに出歩くのはねえと、カミサンに最初は断った。「でもねえ、孫を連れてくるから行かないと会えないわよ」と諭されて、どんなところで遊ぶのだろうと好奇心を掻き立てて、足を運んだ。総勢9人。

2019年8月13日火曜日

「想像の共同体」(3)揺らぐネーション


 さらに踏み込んで、大澤真幸が「想像の共同体」を梃子にまとめたナショナリズムの五点の特徴をもとに話をすすめていきたい。
    ① 「知らない者同士」が国民である。
    ② ネーションは「限られたもの」である。
    ③ 共同体を構成するメンバーの平等性
    ④ ネーションは「客観的には新しいのに主観的には古い」というねじれをもつ
    ⑤ ネーションは基本的には文化的な共同体だが、政治的に自立した共同体でありたいと強い欲求を持つ。

 わが裡なるネーションの萌芽は「おくに」にあった。私は香川生まれの岡山育ちということもあって、甲子園の試合に注目するときは、自ずとその両県の代表に目が行っていた。結婚してからはそれにカミサンの生まれ故郷の県が加わったが、学生時代を過ごした東京やいま在住している埼玉県のそれには、ほとんど思い入れる関心を持たなかった。なぜだろう。「ふるさと」という思いがあったからではないかと考えている。東京や埼玉はまるごと私の意識世界であった。いつ知らず身に刻んだ世界「①」は、己の感性や感覚、価値意識の根拠を問うて自画像を描こうとするときの、「原点」を構成している。「なつかしさ」もふくめて、それが私のネーションの「原点」でもあると思う。

2019年8月12日月曜日

わが裡なるナショナリズム


 大澤真幸が「想像の共同体」を梃子にまとめたナショナリズムの五点の特徴をもとに話をすすめていきたい。
    ① 「知らない者同士」が国民である。
    ② ネーションは「限られたもの」である。
    ③ 共同体を構成するメンバーの平等性
    ④ ネーションは「客観的には新しいのに主観的には古い」というねじれをもつ
    ⑤ ネーションは基本的には文化的な共同体だが、政治的に自立した共同体でありたいと強い欲求を持つ。

山の日


 今日が山の日だということを、夕方ニュースを見るまで気づかなかった。山の会の主宰者として恥ずかしいって? ないない、そんなことはありません。山の日は、ふだん山に行かない人とか、山は遠くにありて眺めるものという人たちのために設けられたもの。ま、一年に一度のこの日くらいは、山を空けて差し上げるってのが、山人にはふさわしい態度ってことよ。

2019年8月10日土曜日

空間と時間のナショナリズム


 大澤真幸「ナショナリズムの取り扱い方」(『支配の構造』SB新書、2019年所収)が面白い指摘をしている。ベネディクト・アンダーソン「想像の共同体」(増補・改定を加え2006年に定本)を参照して「国家とメディア――世論はいかに操られているか」を主題に考察するエクリチュール・シンポジュウムをまとめたものの一章。面白いと思ったのは、大澤真幸がピックアップした次の二点。

2019年8月9日金曜日

知らないこと気づかないこと


 日韓関係の桎梏の発端になっている「徴用工問題」に関して、先日橋下徹(大阪市長)の指摘(日韓条約の締結の際に日韓併合に関する合法不法について明確にしなかったこと)に触れた。その指摘は、韓国最高裁の判決文を読もうとも思わなかった私自身の現在に、気づかされた。そのことに関して、倉西雅子(政治学者)が、日韓条約締結に伴って取り交わされた「日韓請求権協定」へのアメリカの介入に触れていて、《アメリカが「徴用工問題」の解決を国際司法の場に委ねるように説得すべき》と指摘している。それはそれで重要なポイントだと思った。

2019年8月8日木曜日

酷暑の白馬、「あずさ」も熱気に満ちていた


 三日間、白馬を遊んできました。私のカミサンの師匠筋で、植物や鳥や昆虫の自然観察を案内しながら白馬でペンションを経営なさっている方がいて、そこへ鳥の達人や植物に関心の深い方々をともなってカミサンがコーディネートするツアー。私は退職した16年前の春にそのペンションを訪れ、雪の中の鳥たちをたっぷりと見せていただき、ああ、こういう世界があるのだと感心したものでした。その後、ときどきカミサンのお供をして足を運び、白馬を根城に、新潟や上高地近辺にも足を運んで、自然観察の愉しみを味わわせてもらってきました。

2019年8月5日月曜日

複雑化する状況把握


 日米韓外相会談が行われ、韓国外相が発表したことと日本の外相がコメントしたことが食い違う。アメリカの外相がどう反応したかということがに受け止め方の違いがあるのを、私ら外野は、ふむふむと聞いている。日本の外務省は、韓国大使館に抗議したりしているらしいが、それは言葉になったことにはどんなことでもとりあえず文句だけはあるよと言っておこうという振る舞いだろう。あるいはロシアとの北方領土交渉の「気配」について、河野外務大臣はわりと率直に「交渉中のことですからコメントできません」と発言するから、それが信頼感を醸し出すが、木で鼻をくくったようなロシア首脳の領土に関する発言を聞くと、安倍首相の(領土返還にかかわる見通しの)ことばは何を根拠にしているのだろうと、不信感を間違いなくいや増しに増す。

2019年8月4日日曜日

向こうさんの論理的正当性


 先日BS-TBSで橋下徹(元大阪市長)が「弁護士として……」と前置きしながら、いま問題の日韓関係で懸案の「徴用工問題」に対する見立てを述べていて、おやっ、と思った。基本的には、「相手には相手の立論の合理性があることを、弁護士は見極めて、その相手の論理を崩すような反証をしなければならない」と、職業上の(対立する相手との)向き合い方を説いたうえで、二点指摘していた。

2019年8月3日土曜日

未来のミライ


 昨日、ブラジルへ帰る姪っ子親子を見送りに成田空港に行った。1年何か月ぶりに、子ども二人を連れて岡山の実家に帰国し、一カ月ほどの滞在で(ご亭主の仕事先である)ブラジルに戻る途次であった。健康診断などの所用があって帰国したものであるが、母親一人で小さな子ども二人を連れて遠路を往復する荒業をやってのける肝っ玉に、感心する。なにしろ、7歳と2歳の姉妹。お姉ちゃんはもう十分ことばでやりとりができて母親の手助けもできるが、妹の方は、天真爛漫、気随気ままに振舞い放題。目が離せない。

2019年8月2日金曜日

疲れ具合がわからない


 一昨々日山から帰ってきて、その日に同行した方から「無事帰宅」のメールがあった。その文面に、「お疲れ様」とあり、そうだ、疲れたのだろうかとわが身を振り返る。疲れたかどうかが、わからなくなっている。同行者の一人は帰る電車の中で、「いや、よく歩いた。全部力を使った感じ」と、おおよそ2万8千歩の三日目の歩行の感想を述べた。標高差1500mほどを上り下りした。まして後期高齢者である。それは率直な感想であったろう。

2019年8月1日木曜日

見事なお花に迎えられた白山(2)


 3日目(7/30)、朝食はお弁当にしてもらっている。山頂の日の出は5時だから、4時半ころに登り始めれば空いているよと、前日kwrさんが宿の人に聞いていた。4時に起床、4時45分には歩き始めた。先ほどまで見えていた御前峰は左から押し寄せてくる雲に覆われ始めた。雲霧の足が速い。寒くはない。道は「奥宮への参道」らしく石畳を敷いたように、しっかりしている。ハイマツが寄せてくる中を歩く。少し登ると左、西の方へ分岐がある。ここへ帰りは戻ってくると話す。薄暗い中にクルマユリが9輪群れている。シナノキンバイが蕾と花と落花を取り混ぜて群れている。つまり、春から秋への季節が一気に来るから、季節が凝縮されて植物に現れているのであろう。リンドウの仲間がやはり群れを成している。イワツメクサが岩の隙間から迫り出すようにたくさんの花をつけている。