先週の初山行から、まだ5日しか経っていない。だが明後日は気温が格段に下がる。今日は最高気温が14℃という。しかも「雨」は夜の話。となると行かざるべからず。アプローチに時間がかからないのは、関東平野の北、佐野市だが、三毳山はちょっと軽すぎる。先週の日和田山は「お試し」であった。腰痛もあったし、付き添いにも付いて貰った。2時間ほどのコースを4時間かけて歩いた。ようやく、でもあった。しかも帰って翌日、腰痛に悩まされた。腰ベルトをしていても、ストレッチの時間を無事に過ごすことが出来なかった。一番の原因は、気温が冷えたこととみて、今週の山行を考えた。
もう10年以上も前になるが、寺久保山に挑戦したことがあった。「栃木の山」という本に紹介されていたルート。出流原弁天池に車を置いて歩き始め、医王寺から直登するルートが紹介されていた。だが医王寺の辺りでルートを見失い、概念図に従って沢沿いを直登した。道なき道を歩き灌木に摑まって木登りをして、ようやく正規ルートに登ったときには、もうヘトヘトであった。廃道になっていたのだろうか。
今日は、その「栃木の山」の寺久保山ルートでは「サブルート」とされている雷電神社からのコースをたどることにした。ほぼ、稜線上を歩く。出流原弁天池に車を置き、歩き始める。9時38分。雷電神社の手前でちょっと上る道があり、広い駐車場にもなる広場がある。その一角に「寺久保山登山口」の古びた標識がある。
登りはじめる。10時5分。しっかり踏まれた、しかし急な灌木の斜面がつづく。曇りのはずなのに日差しがある。沢を登ったときの四苦八苦を思うと、まるで天国のハイキング。医王寺のある東の谷は鬱蒼とした森に覆われて視野は閉ざされている。だが西側の、これから歩く稜線にぐるりを取り囲まれた盆地は、ビッシリとソーラーパネルが張り巡らされて、景観も何もあったもんじゃない。最近評判が悪いメガソーラーって,こういうのを言うのだろうか。無粋も無粋。結局今日一日、無粋を見ながら歩くことになった。
初山行の時のような腰の不安定さは感じない。汗も掻かない。サブルートは御正道のようにしっかりとしていた。コースタイム1時間10分のところ、57分。まずまずのペース。十何年前にあった山頂の分岐表示は影も形もなかった。代わって、山頂を示す柱が立っている。古い標識もポツンと朽ちつつある。
稜線をぐるりと回るルートへ進む。40m下がって30m上るようなアップダウンを何度か繰り返し、一箇所岩場もどきがあったが、難なく超えた。今回ルートの中間点、三叉路に11時39分に付く。これもほぼコースタイム。
昼食にする。味噌汁を入れ、弁当を開く。カミサンがいつも探鳥や植物観察でもっているのと同じ。タケノコや煮豆、高野豆腐と椎茸の煮物、ブロッコリーとミニトマトが入っている。シジミの味噌汁が美味しい。後でコーヒーを淹れ、30分を過ごす。ヒガラが二羽ヒーヒーと鳴きながら飛び交っている。それよりも少し大きい小鳥が飛んでいったが、何かわからない。
12時9分、出発。南の塩坂峠へ向かう。大きく下り、少し上る。25分というピークに、20分で着く。まったく急いでいるわけじゃないが、歩くだけの楽しみだから仕方がない。ということは、私にそれだけの元気が戻ってきたということか。ピークに「朝日山」と名称が記された木札が吊されている。
そうか、今季十両で優勝した朝日山と同じだ。幕内に戻ってきたら、またこの山にでも来てやろうか。朝日山はご贔屓筋のひいきの引き倒しにあって、三段目まで転落した。気の毒と言えば気の毒、不用意と言えば不用意だったが、そんなことは親方が止めてやるものだ。相撲協会も杓子定規にコトを運ぶより、人情相撲ってのもあることを思い出させるような処分をしなさいよと、岡目八目の私は思っていた。
塩坂峠はやはりコースタイムより少し早く着いた。ここから足利の方へ向かう道と分け、北関東道の塩坂トンネルの上を巻いて、「出流原弁天池→」の方へ降る。道は広くなっているが、落ち葉が積もり、石があったり滑りやすかったりと、足の置き場に戸惑う。
と、年配のご夫婦がお昼を摂っている。まさにこの落ち葉の片付けをしているのだそうだ。掻き集め、まとめてどこかへもっていくのだろうか。挨拶すると、いろいろとこの辺りの山の話しをしてくれた。私はソーラーパネルのことを訊ねる。稜線から見ると、元は畑であったか、緩やかな斜面に日差しを受けた土地がみえる。水の便さえ良ければ棚田にもなったろうにと思った。ご夫婦の説明だと、ゴルフ場だったそうだ。何でも日本で有数のゴルフ場経営会社の持ち物だったそうだが、台風でコースの一角が土砂崩れして使えなくなり、修復するよりもと、ソーラーパネルを張り巡らしたのだそうだ。う~ん、良いかどうか。無粋だと,相かわらず思う。寺久保山の周辺にも、まだオモシロイ山はあると紹介してくれた。十年以上前の医王寺からの廃道は、今は新規に上る道が作られているとも話してくれた。興味はあるが、無粋を目にして歩くのはいやだなあ。3月下旬にはヤシオツツジが、4月中頃からはツツジがきれい、是非見においで下さいとお誘いを受けた。足利市はハイキングルートの整備に年額60万円ほどを出しているという。それに引き換え佐野市の方は、まったく手当がないと(うれしそうに)ぼやいていた。
熊野神社脇に降り立ち、自動車道を歩いて出流原弁天池の駐車場に戻った。14時9分着。歩き始めから4時間半。腰痛はまったく心配なかった。
0 件のコメント:
コメントを投稿