2023年4月19日水曜日

夏日のハイキング

 佐野市の唐沢山。この名を冠する山は随分たくさんある。スマホで検索しても佐野市のこれは出て来ない。『栃木県の山』(山と溪谷社)に紹介されていたから、地理院地図でそのルートを取りだし、コースを確認して出かけた。

 露垂根(つゆしね)神社が唐沢山の登山口。鳥居をくぐったところに5台ほどの駐車場とトイレがある。それ以上に「唐沢山神社」の案内看板が目につく。この地の御神体という扱いだ。すぐに樹木の覆った昇り道になる。と言っても地理院地図に記された唐沢山の標高は241m。なだらかな斜面が長く続く。

 歩き始めてすぐに気づいた。脚の筋力が随分へたっている。四国のお遍路をしているときは、30km/日歩いてけっこう脚力は丈夫だと思っていたのに、こうして山に入ると、たちまちボロが出る。あるいは、デスクワークをしている日が続くと、筋力はすぐに衰えるのか。平地が多いお遍路に比べて山の投降は、低山といえども侮れないってことか。

 唐沢山神社は戦国期の山城であったようだ。本丸や二の丸、北の丸、土塁、堀切、車井戸という深さ25mもの井戸跡も残されている。江戸初期に廃城となり明治初期に城跡に神社を建てたと由緒書きに記す。探してみたが唐沢山の山頂標識は見当たらなかった。神社そのものが山の頂上ってことか。

「京路戸峠→」の標識が要所にある。いまの栃木市と佐野市の往来に使われた峠のようだが、唐沢山から北の諏訪岳324mへ続く稜線上には、各所に佐野市方面への下山路が分岐している。この標識があって迷わず峠に行き着き、その先の諏訪岳や村檜神社への踏路をとることができた。

 気温が上がると聞いていたが、山を下りるまではそう思わなかった。スギやヒノキばかりでなく、ツツジなどの灌木や落葉広葉樹の樹林に日ざしが遮られて、心地よく歩けた。下山して車を置いた登山口までに辿った県道などに入って、照りつける日ざしの強さが夏を感じさせた。去年はこの頃からお遍路に向かったことを思い出した。この暑さでは今年3月のように歩けなかったのは無理もないと汗ばむのを拭いながら思った。帰るとき車に乗って外気温をチェックしたら28℃であった。百葉箱のTVでいう気温とは違う。町はとっくに夏になっている。

 アカヤシオ、ヤマツツジ、ホツヅジ、名を知らない小さい赤い花を密集してつけているようなツツジ、フジ、ヤエザクラなどが道筋を彩る。樹林が切れる所々から佐野市の市外に通じる平地が見えるが、山稜に囲まれた盆地はほぼ全部がソーラーパネルで埋められ、これがメガソーラーかと思わせる景観。興ざめであった。

 一つ以外であったのは、諏訪岳の登り。京路戸峠から村檜神社へのルートの途中から別れて上るが、地理院地図に書かれていたほど短い距離ではなく、けっこう登りでがあった。山頂に上ったら二組6人の人たちがお昼を摂っていて、これは今日初めての登山者であった。後から一人息せき切って上ってきた70年配の人は、着くとすぐに下山するという。どうしてと問うと、この山の下の会社に勤めていて、毎日お昼にここへ上ってきているのだそうだ。往復すると1時間かからないくらいなのか。まさしく里山だと思った。

 4時間の行動時間。車の往復で3時間くらい掛けている。午後4時前に帰着。ビールを飲み、一眠りして夕食を摂り、いまこうして山行記録を書いている。いい一日であった。

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