2020年8月23日日曜日

みなまではみず

「剣ヶ峰山って登った?」と夕刊をみていたカミサンが聞く。

「うん、のぼったよ。どうして?」

「今年の山だって、ほらっ」と、夕刊の1ページを開いて見せる。

 一面の1/3をつかうほどの大きさに武尊山の山頂からと思われる剣ヶ峰山の「鋭鋒」がど~んと座っている。《激動の2020 不動の2020》の見出し。

 

 そうか。剣ヶ峰山の標高が2020メートルだったかと、4日前に登った上州武尊山と周回ルートの一角にある剣ヶ峰山のことを振り返る。じつは、厳密には上っていない。去年、剣ヶ峰山まで登り、調子の悪くなった人がいて、その先の上州武尊山には行けなかった。今年はそのリベンジで、逆コースを歩いて上州武尊山に登り、剣ヶ峰山へのルートを歩いた。今年の調子は良く、武尊山から剣ヶ峰山へ向かう途中で雲が取れ、夕刊の写真に載っていたような景色が一望できた。剣ヶ峰山のすぐ下に下山の分岐があり、ま、去年上ったんだから今年はいいよねと笑いながら言葉を交わして、下山の道をたどった。

 そうか、「今年の山」か。もしそうと知っていたら、剣ヶ峰山へ足を延ばしたのになあ、といま思う。みなまではみず、ってわけだ。

 

 夕刊の記事は、川場からの積雪期は「さらに登りやすい」と記してある。武尊山側からみると鋭く尖って見えるが、川場からの稜線はなだらかな台地上になっている。「クリスマスごろからリフトも動く」と、さらに登りやすさを強調して誘っている。さてまた、再々リベンジとなるか。

「今年の山」って言葉を最初に意識したのは、1982年の石鎚山。香川県高松生まれの私にとっては、子どものころから耳にしいつかは上りたいと思っていた山だったから、1982年に報道を目にして、気に止めたのだ。でも石鎚山に登ったのは2013年の5月。私の兄二人と一緒に瓶ヶ森から入り山頂にも一泊した。長年の大願成就であった。

 

 週1で山を歩いていると、「今年の山」っていうような「記念登山」はほとんど胸中にない。同じ山を何度も登ることもある。でも夕刊のような記事になってみると、剣ヶ峰山は、上州武尊山の(ルート上の)おまけというよりも、それ自体でなかなか威風堂々とした名山である。ことに、武尊神社から登ると、最後の分岐のところから山頂までの屹立が、岩場もあってなかなか面白い。

 みなまではみずという思いが、ますます名山気分を増してくれる。木下こゆる記者・伊藤新之助カメラマンと同じ週に、同じルートを登ったことで、ちょっと違った感懐を味わったと、よろこんでいる。

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