2020年10月2日金曜日

何言ってんだか

 山から帰って来てみると、アメリカの大統領候補の討論会が無茶苦茶であったとTVも大はしゃぎしている。昨日(10/1)の朝日新聞の天声人語は、とぼけたことを言っている。


《討論というより殴り合いである。口直しに往年の大統領選の動画を探した。……理性的なやりとりにホッとする▼心配なのは「トランプ氏はこんなもの」という気持ちが「政治家なんてこんなもの」に変わっていくことだ。皆が討論の正常化を望むのではなく、討論そのものを軽蔑するようになることだ。米国民主主義の行方を世界が見ている》


 何をいまさら。トランプが4年前に登場したことから何も学んでいない。取り澄ました「理性的な討論」が、口先だけの知的な人たちの独占域だと蹴とばしたのが、トランプの登場ではなかったか。天声人語氏は、いまだに近代的知の領域の幻想に身をとどめて「政治」を眺めている。私たち庶民は、4年前に近代知の底が抜けたとみなした。「政治家なんてこんなもの」という認識は、ことにトランプを取り上げるまでもなく、安倍晋三もプーチンも習近平も皆「こんなもの」と思わせてくれている。

 新しく日本の宰相になった菅首相も、学術会議の会員に会議側推薦の会員候補を6人、任命しなかった。その理由も「説明しない」としている。まさしく権力の発動 というのが、こういうものであることを国民に知らしめているのだ。この次元では、香港に対する習近平の振る舞いと、なにひとつ変わらない。

 それを、さもこの先に起こることかのようにいうことによって、じつは、天声人語氏も、いまだ我が国の政治も、菅新宰相も、理知的に物事をすすめることができる同じテーブルについていると錯覚しているか、そうだと思いこもうとしている。それはしかし、自分を欺くことにしかならない。

 理知的に物事をすすめることができるステージを、どうやったら設えることができるか、そこから考えはじめなければならない。政治家がウソをつくのは、天下承知のこと。それが本質よということを知りながら、しかしそれでは日本の国の将来は明るくないよね、何とかしないといけないってところをどうやったら切り拓けるのか。そこを、マスメディアの大御所は、提示してみせなければならないと思う。それだけの影響力を持ってるんだから。

 本質を知るということと、それをそのまま発現させておいては、世の中はどうにもならないぞという予感とを、具体的に政治の世界に反映するには、どこから手を付けて世の気風を変えていくのか。何世代経ても変わらない人というものと、しかし、いつしか世は変わって、世の規範が移ろいゆくこととのどこに焦点を当てて、人々の心を動かしてゆくのか。

 天声人語氏のような「とぼけた口ぶり」で、果たしてどれだけの人が心を揺さぶられたであろうか。

 えっ? おまえが胡乱なのよって? どうして? 


 そりゃあ、ではどうするか、お前が提示してみろって(いつかのアベサンのように)言われても、できるわけがない。そういう立場にいたこともないし、今も立っていないし、ごまめどころか、ごみのような暮らしを世の片隅でしてきただけ。私が何かを言うなんて、口はばったいことこの上ない。でもね。野球はうまくなくても、プロ選手のプレーを見て批評はできるのよ。好き放題を言って、ごめんね。民主社会だもの、それくらい耳を傾けてよと、ぼやいているのでした。

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