しばらく前、スマホがロックされてしまった。どう解除して良いかわからない。サービスセンターやサポートセンターへ問い合わせていろいろとやってもらったが、治らない。とうとう機器補償サービスへ送って、修理してもらったものを送り返してもらった。SIMカードの受け皿が壊れていたとの説明があり、スマホは「初期化」されていた。
さてそれを起動してみると、「データを読み込みますか/初期化しますか」と聞いてくる。えっ、データが残ってるの? どこに? と思う。そこから先、どうしていいかわからない。やむなく、販売店に相談に行く。若い女の子が対応してくれたが、彼女は私のスマホに触ろうとはしない。こうやったら、ああしたらと口を添えて私の動きをみている。だがLINEのPWとなったところで、私がいくつか入れてみるが、動かない。「忘れたとき」とあるのをクリックして初めからやり直そうとするが、応答しない。女店員は、2階のカウンターへもっていけと言ってお手上げにした。
2階にもっていく。「忘れたとき」のメールアドレスがパソコンのものだとわかると、家へ帰らないとできませんという。ははあ、暗証番号も何度かた試して失敗すると、スマホは30分とか、半日とか時間を置かないとロックされてしまったんだっけと、いつかどこかでやってしまった失敗を思い出す。持ち帰るが、トライできない。
一昨日、近所にある家電店へ行って、そこのスマホ販売員に「この先、どう操作したらいいだろう」と訊ねる。パソコンではなく、このスマホのメールアドレスを「わすれたとき」に送信して、「そう、そこを開いて、これこれ、ここの数字を入力して・・・ 」と手順よく教えてくれる。見事に次の段階へすすむ。SIMカードにあったデータなのだろうか、古いLINEの相手先が保存されていたことがわかる。でも、ここ一年のは消えてしまっている。かかってきた/かけた電話番号もあるが、誰のものだかわからない。なにより、山の地図を読みこんだとき、「現在地点を読み込めません」と表示が出て、これがどうやっていいかわからない。スマホ販売員は私のスマホを手元に引き寄せ、何か操作をして「ここが節約モードになっていると、GPSを読み込めないんですよ」と言いながら、「精細モード」に切り替えると、山の地図がパッと表示された。見事な手際。でもねえ、そんなこと私には、思いつきもしない。
これまで私が身につけてきたコトゴトは、見よう見まねでいろいろとやってみて、失敗すると少し戻って別のやり口にトライするというふうにやってきた。つまりそれが私流の身に馴染むやり方であったのかもしれない。ところがデジタル化がどんどん進むと、身に馴染まない手法が採用されていっていて、次のステップに進むときの手順(アルゴリズム)が霧の中に入ってしまうと言えそうだ。世界が私の「せかい」からどんどん遠ざかってしまう。当然、時代遅れになっている私は、世の片隅に身を置くしかなく、受け身的にしか世界に位置することができない。参ったねえ。
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今日は長兄の7回忌。亡くなって満6年になる。でも、7回忌の法事は開かれない。むろん長兄の連れ合いや長男が執り行うものではあるが、コロナウィルス禍もあって、少し前に予定していたものが、揮発してしまった。兄弟は皆高齢者だから、ことに移動と密集を避けて自己防衛するほかない。「天の啓示」と受け止めて、わが部屋の祭壇にお水を上げ、お線香を点けた。わが部屋の祭壇には父親と母親と末弟と長兄の祈念誌や写真や著作物も置いてある。いつのまにか大勢になったなと、わが胸中のひとりひとりと言葉を交わすように、考えるともなく思っている。こちらの方の「せかい」が、離れていく世界よりも馴染を感じる。
そうか、そういうふうにして私も、彼岸へ近づいて行っているのか。これも悪くない。
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