2020年11月22日日曜日

身が詰むって感じが身につまされる

 先日私のスマホが故障したことを記した。リセットしてからの使い勝手がよくない。毎回、開錠のために暗証番号を入れなければならない。山を歩いていて現在地を確認するときなど、ずいぶんと煩わしいと感じる。でも、どうやってそれを無しにできるのかが、わからない。

 NTTの光通信を利用している。それをプロバイダともどもドコモに切り替えたら、月ごとの請求がカード会社を通してきて、請求の明細もなく、金額が結構な額になっている。何処へ問い合わせていいかも、わからない。

 世の中がだんだんブラックボックスになっていく。ま、こちらが世の中から浮いてきているとは思っている。デジタル化が進んで、カタカナ文字の操作がほぼ日常語のように画面に並ぶと、もうそこでお手上げって。一つひとつ考えながら操作するもんではなく、体で覚えてさかさかと手指が動くものと若い人たちは受け止めているのであろう。

 そう言えば、車にnaviをはじめて付けて走ったとき、助手席に座っていた娘が「naviの画面をみなさいよ」と声を上げたことがあった。つまりnaviは画面を通して予期的情報をたくさん流しているのに、私はnaviの声の指示だけを聞き採ろうとしていたから、五差路か何かでうろうろしたのを叱る声でだったのだ。いまだもって私は、naviの経路表示まかせのままに動くことができない。それよりは、事前にnaviの経路を地図でチェックし、混んでるときはこちらが良いかと修正して、頭に入れてから運転に取りかかる。そういう心の準備を内側で整えてからでないと、naviと共存できない。つまりアナログ世代がデジタル世界に移行する間の、身が馴染む時間を、目下、過ごしているというわけだ。寿命が尽きるのと馴染むことができるのと、どちらが早いか、競っているようなものだ。

 スマホや光通信がブラックボックスだからと言って、埒外にわが身を置いてしまうわけにもいかない。それどころか、日常の暮らしは着実にデジタルに移行している。それをある程度使いこなせなければ、何かを手に入れるのにも不自由する。ましてgo-toトラベルなどの「特典」にあずかろうとすると、間違いなく落ちこぼれる。デジタル機器のサポートシステムに頼るほかない。だがそのサービスの拠点が、街なかのどこにでもあるものじゃない。今使っているスマホのサービス拠点は、電車で6駅も先にある。「開錠ナンバーの解除」というのを聞くために電車賃を210円支払って出かけるのも、何だかなあと、つい思ってしまう。こういうのって、ケチなのだろうか?

 そこへ、今使っているスマホから乗り換える手数料が0円というコマーシャルメールが入った。乗り換え先の大手の出店が歩いて5分ほどの所にある。そこへ行って話を聞くことにした。カウンター越しに5人ほど、ほかに広くテーブルを6つほどおいて、スタッフが6、7名いる。用件を聞き、受付番号をもらって少し待つと、スタッフが来て、応対してくれる。すぐに切り替えの話に入るから、いやいや、切り替えたらどうなるか、話しを聞きたいのであって、すぐに切り替えるかどうかを決めるつもりはないと、こちらは引け越し。

 私のスマホのつかい方とスマホ自体が持っている能力との大きな乖離も気になっていた。スタッフは、私のスマホの使用容量をあれこれ操作してチェックし、それならばこうなると「料金試算」を提示する。ふんふんと聞く。6カ月の格安期間を過ぎてこちらに切り替えると、一番安いこの料金であとはずうっと維持できる、と。

 光通信の話を出すと、こちらに切り替えるとスマホ料金が月壑500円安くなる。連れ合いのスマホがこの大手なのでというと、それなら、も少し安くなります、とも。さらにわが家がご近所の集合住宅と聞くと、ケーブルテレビの会社の回線が入っているなら、プロバイダも切り替えると、安いプランがあると言って、話しを聞いてみるつもりがあるなら、そちらの担当者を紹介するから、聴くだけ聞いてみたら、とも。

 こうしていったいどこまで何が作用して安くなるのか、絡み合ってわからなくなる。ふと気づいて、彼が別の機種のスマホを考えているんじゃないかと思い訊ねると、やはりそうであった。今使っているこの機種が不都合でなければそのまま使いたいのだというと、使えるかどうかを調べに行って、OKですと応答する。このスタッフが当たり前と考えていることと私がそう思うこととがずれているのだ。そうこうするうちに、スマホも光通信の方も、来月までが切り替えに障りがない期間ということも分かって、いつの間にやら、買い替えることに話が転がっていく。

 あれもこれも合わせると、今使っているのよりも1500円ほど安くなるというので、今月中にいろいろな手続きをすることにして、あらためて出直すことにした。これだけで、1時間半。

 つきあってくれたスタッフもそうだが、手早く、かつ、根気がいい。こんな年寄りに懇切丁寧に向き合うのも、好感が持てる。ま、これがセールスってやつなんだろうけれど。

 そこで、スマホの画面開錠の相談をする。ではではと、私のスマホを受け取り、何やら操作を続けて、ここをこうすればいいとありますよねと、画面を私に向ける。なるほど四つばかり選択肢が並び、暗証番号を使用しない所をチェックすると、以前のスマホに戻った。と同時に、そこにあった注意書き。他の人が操作することをブロックできなくなりますとある。そうか、それで、以前にこれがフリーズしてしまったのかと、直感した。アルゴリズムというか、カタカナ用語と手順がわかればそれなりに仕えそうな予感がした。

 機器に私の身が馴染むというよりも、スタッフの応対にアナログ仕様の身が馴染むって感じがした。

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