今日(3/30)、好天の奥多摩の鹿倉山(ししくらやま)を歩いた。三頭山の西側に位置する。奥多摩町から山梨県の丹波山村への縦走路。下山口に自転車を置き、奥多摩湖の西端の深山橋を渡った登山口の駐車場に車をおいて登り始める。陣屋という蕎麦屋の脇道を入る。サクラとレンギョウが出迎える。すぐに急斜面を登る山道に踏み込む。ここから標高1000mほどの大寺山まで、標高差500mのひたすらな上り。落葉広葉樹の林がつづく。木々の間から奥多摩湖の湖面が朝日を受けてキラキラと輝いている。おお、ミツバツツジが見事な花をつけている。コースタイムは1時間半とあったが、約1時間で登った。山頂には大きな仏舎利塔が建っている。1960年代後半にたてられたというが、まだ新しいもののように真っ白だ。そう言えば、足場が組まれているから、ちょうど化粧直しをしたところかもしれない。
ここから鹿倉山までは少しばかりのアップダウンの稜線上を辿る。古い道標がこのコースの来歴を表していると思っていたが、「鹿倉山ハイキングコース」と記した金属製の道標は、手書きもあって古いのか新しいのか、よくわからない。ヒノキを育てているという気配が色濃い。よく手入れが施されている。稜線を歩いていると、何処か下の方からチェーンソウの音がする。地理院地図の1178mピークには、道標に「大マトイ山」と手書きしてあった。地元名か。
その先に落ち葉の降り積もる林道が現れる。その林道の砂利に、コケが生えかかっている。かつて木の伐りだしをしたときにつくられたもののようだ。しばらく進むと林道にネットが書けられ通行止め。その片隅に、左の山道へ上がるよう指示標がおかれ「林業作業道」と手書きされている。山道を行くと左下方からブルドーザーが動くような音が響く。覗くと、下の広場にトラックが止まり、キャタピラ付きの小型重機が走り、ユンボが座っている。その傍らには伐り揃えた丸太が積み上げられていて、運び出すばかりなのか、このまま乾燥させているのかわからないが、たしかに林業作業中であった。その先でまた、林道が現れたが、こちらは、敷いた砂利も白っぽい。その先に「←鹿倉山」の標識が現れ、林道を下にみながら山頂への斜面を上る。
11時ちょうど、鹿倉山の山頂に着いた。コースタイム3時間15分のところを、2時間15分で来ている。上々。ヒノキに囲まれた小広い山頂。てんでに木に取り付けられた山頂表示が、古い時代のこの山のあしらいであろう。三角点の置かれた1278mという、そこそこの標高だが、関東平野からみると、奥深い。早いがお昼にする。
少し下ると、先ほどの新しい林道と出会う。山頂をぐるりと巻くようにつくられていて、山道に合流して、林道を辿るようになる。15分ほどさきで「←遊歩道」と小さな標識がある。たぶんこれが、林道をショートカットする登山道なのだろう。だが林道は、地理院地図に記された登山道を辿るようにぐるりと回り込んでいる。それを歩く。予測通りであった。やがて「←大丹波峠」の、壊れかけた道標が現れ、ここで林道とわかれて山道の下山路となる。大きく山体を巻きながら降るルートは、しっかりと踏まれている。やがてこれも、回り込んできた林道と出会って、それを辿り大丹波峠に着く。12時3分。「←丹波山村・小菅村(川久保)→」の峠道だったわけだ。
ところが丹波山村の方の道には「登山道崩落のためこの先通行禁止」と大きな看板が立てかけてある。ええっ、ここへきてこんな表示では、引き返すわけにもいかないではないか。これも、黒山三滝の登山路同様、行政の「言い訳看板」だろう。進むと緩やかなジグザグの下りとなり、左側の沢に近づいていく。そのうち、何百メートルか沢を歩くようになる。そこが崩れている。一昨年の台風19号のせいだろうか、流されてきた倒木が沢に横たわっている。沢歩きとなるから、踏み跡も怪しげだが、先を見据えて、歩けそうなところを踏んでいくと切り抜けるのに困難はない。
35分ほどで沢を抜け道に降りる。ここにも「言い訳看板」様のものが置かれている。マリコ川を渡るマリコ橋だ。その先に「サミットの森(小峰山)散策コース」のイラスト看板が掛けられている。スーパーマーケット・サミットの協賛なのであろう。丹波山村が設けたハイキングコースだ。「クラインガルテン」という植栽場や「ジビエ加工場」などが、高いフェンスの上部に電流を通した防止網を施した広い農耕地がある。サル除けなのだろうか。それをふくめて、満開のサクラが目を奪う。
自転車をおいた下山地点に12時47分着。ほぼ4時間の行動時間。ここから出発点までの10kmが自転車道。最初調べたときは、登山開始地点の標高は520m、下山地点の標高は620m。つまり、100mの標高差を快適に下って戻れると踏んだ。ところが、結構アップダウンがある。8割は下りなのだが、後の2割が上りとなる。車では何でもない上り道が長く続くと、自転車は草臥れる。加えて南東の向かい風は計算外。ときどき押し歩いて40分かかった。
快適に車で4時には戻っていた。