一昨日(3/3)、「延長戦になった」と書いた、私の不整脈の「追加検査」のこと。検査を受けるつもりでさいたま日赤まで行った。天気がいいので、自転車でぼちぼちと。吹く北風もそれほどでもなく、セーター一枚で寒くない。そう言えば一昨日は桃の節句、今日は啓蟄ときている。40分で着いた。
診察券でさかさかと受付が済み、診察室前で待つことになった。予約時刻より30ほど早く、本を読んで待機する。すでにたくさんの人が順番待ちをしている。9時の診察開始前からすでに、担当医の部屋には患者が入り、次の番の型の「診察番号」が入口のモニターに表示されている。おおよそ一人5分ほどの診察のようだ。私の番が来たのは、予約した時刻より7分も早い。
「追加検査」としてCT検査をすることになったと告げる。今日やるのかと聞くと、そうではなかった。月末の3/29、その結果の診察が4/1ということでいいかと訊ね、了解すると、それで診察はお終い。外で待っていると、看護師が来て、所定の用紙に書きこんで署名してもってきてくれと、部屋番号を告げる。アレルギーや既往症の確認であったり、薬液を注入することへの同意書だった。検査当日の注意を受けて、それで今日はすべて終わり。予約時刻から15分ほどで終わったわけだ。診療費は70円。そうだよなあ、何もしなかったようなものだもんね。
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自転車をこぐと、歩くときより風景が変わる。すれ違う人の顔つきをみていない。着ているものとか、何を持っていたかなども、文字通り、捨象されている。それほど人出が多いわけではないが、どちらからヒトが来ているかどうかをパッパッとみている。自分の通行に障りになるかどうかをチェックしている。すれ違うスピードが速くなるにつれ、抽象度が高くなる。追い越していく車には、私のような自転車通行者が、目に入っていないかもしれない。自分の利用しているメディアによって、観ている次元が違ってきている。
時間が、ヒトそれぞれに固有のものであって、皆さんが共有しているわけではないと、何かの本にあった。小さい子どもと、私のような年寄りとでは、時間の通り過ぎ方が違う。同じ一年が、年齢分の一の速度で過ぎていくと私は実感している。それと同様に、空間・風景もまた、ヒトによって抽象度が違って、観ているものが見えない。逆にみていないものが見えているってこともある。
それらは、ヒトが多様なのではなく、人の見ている時間や空間の次元が違うってこと。だから、何をどうみているかということも、すれ違う。年齢もあれば移動速度もある。それと同様に、時間や空間をみる次元が、ヒトによって異なるから、それを調整しないままで言葉を交わすと、なんだこのやろうってことにもなるし、こいつの言ってることは、わかんねえなってことにもなる。そういう、すれ違いが、いろんなことで気になる。
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昨日、山からの帰りに車のラジオで聞いた国会中継が思い浮かんだ。
社民党の福島瑞穂が丸川珠代男女共同参画当相を問い詰めている。丸川が夫婦別姓に反対と表明していたワケを問いただしている。丸川は「職員の熱意にブレーキを掛けないように私個人の意見は差し控えている」と、躱そうとする。丸川の別姓反対意見の根拠を尋ねているのに、大臣が自分の意見を控えるって、どういうことだと舌鋒は鋭い。「男女共同参画社会の実現」には、不適格じゃないのかと追求され、とうとう、
「氏が別であると家族も結束が弱くなる」
と、定番の家族主義的な主張を述べた。それに対して福島は、
「あなたの丸川は旧姓でしょ。それは、あなたの家族の結束の障碍になっているのか」
と、さらに問う。
「丸川は通称です。氏ではありません」
と応えるも、じゃあ、紙に書かれたことが家族の結束に影響するのかと追求がすすみ、福島の問いに答えたことにはならない。面白い。
社会的な参画単位を「家族」という集団におくのか、「個人」におくのかという次元で考えることもできる。あるいは、「戸籍届」というかたちにおくのか、「事実婚」を認めるのかで、社会のつくり方は大きく違ってくる。通称と氏という違いを、社会的に認めるというのが、芸能や政治の世界に限られるのか、普通の人の社会生活でも容認されるのか。後者となると、戸籍との違いが動表面化して問題となるのか。そこまで踏み込んでいくと、社会的な常識を変えるのに、どのような法的制度的な手法があるのかと考えることもできる。
つまり、何をどうみようとしているかという問題になり、あるいは、どこまで哲学的な論題に踏み込んでやりとりするかという問題が浮上する。国会論戦がそういう哲学問題にまで踏み込むようになると、まさしく「民度」が問われる事態であり、定着すると「専門家」と「民衆」の壁が取り払われて、人々の文化的練度も上がってくると思われた。
もちろん、現実は、そんな次元の違いに気付かぬ顔をして、「政治的に」お仕舞いにしてしまった。つまんねえの。
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