食事が質素で目を開かされた。日頃の食生活がまるで餌を掻きこむような食べ方だったと思った。
入院後14日目に管理栄養士が部屋にやってきて、食事に関する過不足を聞いて行った。私の体重が落ちていること、脱水症状が出ていたこと、栄養状態や私の血圧など、データをきっちり参照しながら、変える必要があるかどうかをインタビューするって感じ。
私はいまの入院生活を考えて、カロリーは少量であることを、むしろ歓迎している。しかし管理栄養士は、退院後の力も付ける必要があると考えて、増加を考えているようであった。これまでの体重が、標準体重の1kgほど上。山歩きには「蓄え」と思って、それを保ってきた。ところが先週計ったら、3kg落ちていた。
でも、まあまあの「標準」だろうから、これで十分。普段の過剰さへの戒めとしても、これくらいがいいんじゃないかと得心していた。それを管理栄養士は心配している。
体重が落ちるというのは、筋肉が落ちることと考えているのかもしれない。だがいま、食べたからと言って、筋肉になるとは限らない。体が重くなって、かえって悪いようにも思う。とりあえずは、現状の少量のままでいってもらうことにした。でも、ここまで目が行き届いているんだというのが、まず私の驚き。大船に乗っているという発見。
本当に身体の総合管理だ。これくらい目が行き届いていれば、患者もあんのんとしているわけにはいかない。常に自分の躰と向き合う。自ずと、普段の暮らし方のどこがどうモンダイかに突き当たる。自分の病気も、治してくれるではなく自ら治ろうとするモチベーションを培うことになる。
そうか、病院というのは、根柢的には(自立的に元気であろうとする)内発力を再生させる場なのだ。全部お任せ、医療に治してもらおうという消費者的態度であっては、治るものも治らない。私のような外科の患者ですらそう感じたのであるから、内発因によって発症している病の患者たちへは、もっと強い働きかけを感じさせているのではないだろうか。
医療が変わったのか、私の見方が変わったのか。その双方か。
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