救助隊は、まず、体調をチェック。同行者がきっちり説明をしてくれているので、もっぱら私の様子を診る。背負って救助と判断。寒そうな私に赤い羽毛服を着るように言う。小さいサイドバッグを首から外し羽毛服を着る。背負う隊員が斜面に手をついて私に背を向けて乗せる。すでに彼の躰にはザイルが結ばれ、上から引っ張る。一人が後ろから私の尻を押して補助する。背負った隊員は四つん這いになり、急な斜面を這いあがる。半ピッチのところで交代。さらにひとピッチ行ってから交代。トラバースに入る。こうして、下りから平地に降り立ち、河原を歩いて、救急車の処へたどり着いた。灯りを照らす人、私の荷を担いで進む人、少し先を並行して進む同行者を誘導する人、ザイルなどを設置し、回収し、途中で背負った隊員を確保しているプルージックを付け替える人、ずいぶんな隊員たちがいました。
救急車の中で「どうしてこうなった」と問われました。私は下山ルートを説明しようとしたことを憶えています。
「そうじゃない。どうして?」とくり返されて、ああ見当違いのことを応えているんだと思っただけ。そのときは、滑落したことをほぼ忘れていたと、あとで思いました。
1時間半かかると聞いていた病院へ少し早く着いたと言っていたが、すでに日付が変わっていたのではなかろうか。
怪我と打撲の手当てをし、レントゲン、MRI、CTをとり、私はすっかり身を任せていました。痛みも苦しさもありません。
午前4時ころに処置が終わったか。病室へ行くことになり、同行者は親鼻の駅で始発を待つと言って、病院を出て行きました。
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