2021年5月7日金曜日

ご報告(第7回)病棟のスタッフと作業

 朝6時、顔拭きおしぼりが来ます。朝のお茶、薬の配布、担当看護師の容体チェック、朝食の配膳と回収、体温・血中酸素・血圧の測定、担当医の回診。ゴミの収集、床の清掃、シーツの交換、パジャマの交換と清拭と、始終スタッフが現れて手際よく仕事をしていきます。リハビリ士は部屋まで迎えに来て、「リハビリ室にいます」と書いたカードをベッドにおいて、送ってきたとき、それを回収していきます。介護ケアマネジャーが今後のことを、耳の遠い患者と相談する声も、廊下から響いてきます。

 私は下肢と左腕が動きますから、たいてい自分で出来ますが、車椅子でトイレへ連れて行ってもらう人もいるし、食事を口まで運んでもらう人もいます。ナースコールが鳴りやまないこともあります。救急患者が入ると、廊下が騒がしくなり、個室への出入りが多くなります。ああ、脳梗塞の人だ、骨折しているらしいとやりとりの声から推察できます。

 患者の断捨離のバックアップ部は、基本を押さえて充実しています。いわば人の暮らしの基本が、全部つまっています。これが安定していて、心地が良い。痛みが和らいできた私は喜んでいるわけです。

 基本、静かです。こうしていると、普段の暮らしがいかに騒がしく浮かれ、余計なものに取り囲まれて猥雑であるか、痛感します。それは、私自身の暮らし方が贅肉をつけすぎ、感性もすっかり基本を忘れてお祭り騒ぎをしていると感じました。

 身の動きがままならない状態におかれてはじめて、そうした状態下での暮らし方が、人が生きる基本なのではないか、と気付いたわけです。

 ブータンか、と思いましたね。

0 件のコメント:

コメントを投稿