衆院選の期日前投票をしてきた。当日、外へ出るためだ。昔、といっても半世紀以上前だが、期日前投票をするために市役所へ足を運んだことを思い出した。
「どこへいくのか? その日でなければならないのか」
などと係員に聞かれ、
「そんなことを話さなければならないのか」
とやりとりをして、
「だったら、投票しない」
と帰ってきたことがあった。
つまり昔は、「どうしても期日前投票をしなければならない理由」というのがあったのだったか。いまならきっと、係員の名前を聞いて、投票妨害だと騒ぎ立てるような大事になったに違いない。
投票所入場券の裏面に、期日前投票をする理由を、チェックする欄が設けられていて、該当箇所に☑を入れればそれで済む。
区役所の投票所は、混むほどではないが、人が絶えることなく適当な間隔を置いて列を作り、記入台がいっぱいになる程度に、投票する人が押し寄せてきている。ほどほどの気温の昼間だから、出歩くにも気持ちがいい。
そういえば今回は、3人立候補しているうちの2人が1回ずつ、すぐ近所で演説をしただけ。あとは、いついつ浦和駅前に政党の名を知られたのがやってきて演説会があるというお知らせが、やはり2候補1回ずつ。名前を連呼して通る候補もなく、しずかなもの。
TVも、どこかのチャンネルは選挙のことをやっているが、やっていないチャンネルの方が多い。そちらの方に切り替える。SNSや週刊誌にあることないことを書かれて憤激している女優のこととか、皇女の結婚のこととか、中国の軍事的な装備のこととか、台湾が緊迫感を増しているとかいないとかと、特報風に話題を組んで、2008年の政権交代のあった時とは大違いだ。メディアも冷めてきているのだろうか。太鼓持ちのニュースを流すよりは、放っておくほうが、いい。政治家連中も、調子の乗らない分、賢く見える。
ま、こちらもパートタイム主権者らしく、3年とか4年に一回の投票権を行使するだけはして、あとは何をするか見ているだけ。本当にご苦労様、と声をかけたいような政治家がいなくなっちゃったなあ。
むかしはそれでも、エリート官僚たちが脇をかっちり固めて(善し悪しは別として)やることはやっているようであったから、パートタイム主権者は(任せるしかないよな)と身の程をわきまえていたのだが、いまは、おいおい大丈夫かよと思うような人たちがそちこちに出来して、週刊誌に話題を提供し続けている。聞き苦しいし、見苦しい。その話題提供者たちが、恥ずかしげもなく、またぞろり立候補している。懲りないのか、パートタイム主権者の忘れやすさを見くびっているのか。そんな連中が、蓋を開けて当選してたりすると、いっそうこちらの(パートタイム的)断片性が際だって、いやになってしまうじゃないか。
行き来の6500歩ほどを歩いたのが、せめてもの効用と思って、主権者は、ふだんの暮らしの中に姿を消すのでした。
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