2020年7月20日月曜日

何という晴れ間


 昨日(7/19)、東松山の森林公園付近に届けるものと受け取るものがあり、車で行くことになった。天気の予報は、午前中曇り午後小雨。ただ行くだけじゃもったいないから武蔵丘陵森林公園へ行って、中を散策して来ようと思った。カミサンがお弁当も作ってくれるという。雨具と傘を用意し、双眼鏡をもって出かけた。

 ところがどういうわけか、陽ざしが出てくる。結果的には一日中、梅雨の晴れ間。日曜日とあって人の出もそこそこあった。六年前に一度来たことがある。山の会のお花見にやってきたことがある。だが私は、飲み物とおつまみを用意し、サクラが咲いている丘のようなところでシートを広げて宴会をしたことは覚えているが、公園のことはまるで記憶に残っていない。
 シニアの入場券が210円。地図が用意されていて、メインの舗装路とそれと並行したり横切ったりする散策路が縦横無尽に走っている。高低差も標高でいえばせいぜい20メートルほどだが起伏に富んでいて、面白い。池や沼がいくつも散在する。南北でいえば、直線で5、6キロ、横幅は広いところで2・5キロほどか。武蔵丘陵と名づけるだけの風格がある。国立の森林公園なのだ。
 舗装路を歩くのは野暮ってものだと、散策路に入り込んで、一番遠いところを目指す。散策路はときどき舗装路に出たり横切ったりするが、森の中を抜けている。なかには旧鎌倉街道と名がついていて、ほんとかなと思う。たしかに800年前にはこんな道で会ったろうと思うような、佇まい。要するに、灌木が両側に生えそろって、ところどころ樹林の中を抜ける。熊谷直実などと聞くと、さもあらんとは思うが。自分がどこにいるか見分けられるように、ところどころに番号を打ってあり、地図にそれを記しているから、道に迷うことはない。ただ、雨が降り続き、森はしっとりと濡れている。地面がぬかるんでいたり、斜面は滑り易かったりするが、これは山歩きと同じだ。
 自転車のサイクリング道路も、貸自転車と共に設えられている。その道路は、メインのバス道路とも、散策路とも交差するところは立体交差していて、煩わしくない。自転車に乗って行き交う親子連れもたくさんいた。
 ヤマユリが花盛り。カメラや三脚を構えた人が、幾人もいる。私がご近所さんなら、年間パスポートが(シニアは)2100円だそうだから、毎日でも散歩にやって来るのになあと思わせる。午前中は、散策路を歩いている分には、それほど人と出逢うこともなかった。ジョギングする人、ランニングに歩と向けには、10キロコース、5キロコースと標識が掛けられ、う~んと広い芝の運動広場を中心に走り込める。園内のいくつもの広場の中には、流れがあって、子どもが水遊びすることもできるが、新型コロナの影響でお休みしていると張り紙がある。
 三カ所ほどレストランがあり、何カ所かに売店もある。適度にベンチが置かれ、座って休んだり本を読むこともできる。森を抜けてくる風が心地よい。広場で遊ぶ子ども連れが、日曜日の風情を醸し出している。よちよち歩きの一歳ほどの子どもが、母親の手を振り払って芝生の上を父親に向かって歩いていくが、途中でとんとしりもちをつく。また起ちあがってよちよちと歩き始める。みていても、面白い。
 中学生ほどの女の子が二人、木陰で何か話しこんでいる。かと思うと、若く見える女性二人がシートを敷いて、お弁当を広げ、笑いながらおしゃべりをしている遠くの景色。十五人ほどの人が、何かの観察会であろうか、講師(らしき人)の指さす方向をみながら、話に聞き入っている。
 マスクがなければ、コロナウィルス禍になやまされている気配を感じないほど、人々は落ち着き、ゆったりと振る舞う。いいねえ。
 午後になって人の数が増えたように思う。お昼を済ませて、「環境保全地区」へ踏み込んでみた。散策路はぬかるみ、人があまり入り込んでいない。雑然と茂る植物ばかりで、手が加えられていない。静かな池が陽の照り返しを受けて、キラキラと水面を輝かせる。
 その隣にある野草園と記された散策路を回った。レンゲショウマが咲き始めている。下を向いた花を、画面に入れようと、カメラマンは身を土に付けるようにして構えている。フシグロセンノウ、ヒヨドリバナ、オオバギボウシ、オミナエシ、オカトラノオ、キキョウ、ノカンゾウ、ハンゲショウもあった。やはり野に置けという雰囲気が、どっしりとした森に囲まれて、いい佇まいをつくっている。眼福という言葉を思い浮かべた。
 じつは南の端から北の端まで行ってみようとしたのだが、途中の散策路を歩くうちに時間が過ぎ、行きつけなかった。帰宅と決めていた時間を大きく過ぎるほど歩き回ったのだが、帰路を、行った道と同じ地点を二カ所ほどしか通らないで還り就くことができるほど、ルートは多様に四通八達していた。山ではないが、ここは面白いと思った。6時間半も過ごした。
 まったく何という、梅雨の晴れ間。

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