2020年7月29日水曜日

まさしくgo-to-trouble


 奥日光に来ています。東京のコロナ感染者数がどんどん増えていた今月の初め。7、8月に予定していた宿泊を伴う山行を、(山の会の常連が)白紙に戻した。宿(での感染)が心配というのだ。その当時は、梅雨が早く開けるといわれていたから、それで私の山プランは、まったくフリーになった。ならば、まず奥日光に行ってカミサンを師匠に植物の門前の小僧にでもなろうかと考え、宿を予約した。政府のgo-to-キャンペーンなどが始まる前の話。

 
 ところが、梅雨が長引く。昨日(7/28)も、霧雨が降る。高速路もほぼ順調、まず、日光植物園に入った。何年ぶりだろう。15、6年程前には頻繁にここを訪ねて、花や木の葉の色づく写真を撮った。ハンカチの木の白い花をはじめて見たのも、ここであった。懐かしい。イワタバコの花があるよと、先着して帰ろうとしていた見学者が教えてくれた。
 ヤマユリが元気がいい。ウバユリはもう終わりかけている。アジサイが終わったのからはじまったのまでいろいろとある。クサアジサイが今を盛りと咲いている。タマアジサイはこれからの準備が整っている。アキノタムラソウとチダケサシが背の高さを競うように花を伸ばしている。
 なにより園内のどこにいても高木の緑葉に覆われて、降っている雨がやわらぐ。森に浸っているという感触が心地よい。東屋でお昼をとって、2時間半も観て回った。師匠はツルガシワが確認できてよかったという。私はキレンゲショウマがちょうど花を開きはじめているのに、楚々とした思いを感じていた。
 終わりころになって、手の甲にヒルがついているのに気づいた。降り落して、事なきを得たと思ったが、師匠もまた、手の甲にヒルをみつけ、拭うとそちらの手の指に移り、振り払うと足元の靴にしがみついてなかなか頑張っていた。しばらく、山のヒル談議をしながら奥日光に向かったが、宿に付き、風呂に入ったところで、左足の靴下が真っ赤になっているのに気づいた。脱いでみたが、二カ所ヒルが吸い付いた跡があり、そこからの血が止まらない。靴下を棄て、絆創膏でを貼って凌いだ。痛みはまったくない。師匠も同じように、靴下が真っ赤になっていたという。これが、第一のトラブル。
 
 笑いながらワインを空けて夕飯を待っていたが、トイレの電気がつかない。テレビがつかないとカミサンはいう。フロントに電話をすると、この辺り全体が停電中だという。でも部屋の電気は付いているよというと、それは非常電源が作動しているからという。スマホで調べると、5時27分湯元停電、120戸、回復見込み8時とある。
 夕飯は大丈夫なのか。大丈夫じゃなかった。前菜を用意したところで、全部中断。夕食も始まらないまま、部屋で待機。それでも6時半ころまでは、外の明かるさで本が読めたが、その後は部屋の電気も消えてしまった。
 まさにgo-to-troubleだねと話しながら、あとは早々と寝に就いた。
 8時になっても回復しない。宿のスタッフがお茶やお菓子を持ってくる。
 9時45分頃に宿のスタッフが味噌汁とおにぎりとおしんこを乗せたトレイをもってきてくれ、「いま、しばらくお待ちを」と挨拶してまわる。「いや、我々はこれでもう十分です。ご苦労様」と応じて、おにぎりを食べていたら、部屋の電気がついた。
 その10分ほど後だったろうか、「夕食の準備ができましたので・・・」と放送があったが、もうお腹はいっぱい。電話もきたが、食べないと告げた。
 寝付くこともできず、読みかけの小説をそのまま読んで、とうとう読み終わってしまった。11時ころ就寝。一食抜いた気分が胃袋に心地よく、6時前に目が覚め、風呂に行った。停電後のトラブルで風呂入口の廊下に水が溢れ、スタッフはその始末に大わらわ。本当にご苦労さんでした。
 もう一泊する私たちは、一食抜いたくらいの気分で鷹揚でいられるが、一泊で帰る人にとっては、まさにトラブル。朝食でスタッフと声を交わす言葉を聞いた。6人ほどの団体で来ていた人たちは、「部屋飲みで過ごしたわよ」と、コロナ構わず笑っていた。日本の旅客は、十分しっかりしている。

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