2020年7月31日金曜日

変わらず降り続く雨


 奥日光は、昨日(7/30)も朝から雨。ゆっくり食事をとり、宿を出て、竜頭の滝上の駐車場に車を置く。ここから高山を往復して来ようというわけ。上りはじめるころには雨がやみ、「9時~12時曇り」の予報通りだと喜んだのもつかの間、小雨になる。ただ、樹林の中を歩くから、それほどうるさく感じない。戦場ヶ原につづくカラマツの林とミヤコザサの森は、しっとりと濡れてみずみずしい。足元は砂利道になっていて、ぬかるんでいない。大きく高山の山体を西へへつって回り込み、緩やかに高度を上げる。高山の北端のピークを巻いて中ほどで稜線に上がる。ここにロープが掛けられているが、それほどの急登ではない。稜線上には「←竜頭滝・高山→」の標識が立つ。深い雲霧が進路を閉ざしている。

 
 前を歩くカミサンはときどき立ち止まって、ヤマガラだろうかと鳥の声に聴き耳をたて、腰をかがめて草をみている。巻道で追い越していった60歳代の単独行者が、前方でしゃがみ込んでいる。反射板をつかってキノコを撮影していた。立ち止まったカミサンに「フウセンダケ。おいしくないよ」と言い、あとにつづく私に「これね、ぬめぬめしてるんですよ」と、一本を抜いて(私に)差し出す。さわると、なるほどぬめっとしている。私たちが先行する。
 
 稜線歩きも、ところどころのピークを巻くように踏み跡がつづく。冬ここを上った時は、全部雪の下。稜線の上がるまでのトラバース道は、深い雪に覆われ、見当もつかなかった。むしろ急斜面を木登りのようにして上り、早く稜線に出て、ほぼピークを踏むように直進した。その時の印象では、結構な急登の高山と思っていたのに、この緩やかな上りは何だ。拍子抜けするようだった。
 最後の上りにかかるところで、ズダヤクシュが楚々とした白花をつけて何輪か笹薮から顔を出している。そこから一息で山頂であった。やはり雲霧の中。山頂の標識と少し離れたところに、「←小田代ヶ原・竜頭滝→」の案内標識があった。1時間半。のんびり歩いた分には、コースタイムを15分オーバーした程度。喜寿の山歩きとしては、ま、そこそこなんじゃないかと笑う。
 
 15分ほどいて、下山する。ズダヤクシュのところで、先ほどのキノコカメラマンに出逢う。カミサンが「テングノ・・・ってキノコありましたよね」と声をかけると「ああ、メシモリですよね」と返事が来る。何やらやりとりがあって「気を付けて」と挨拶して分かれた。「なに天狗って?」と私が聞くと、「うん、なに。どれほどのキノコの人かと思って」という。訊ねて確かめたのだそうだ。人が悪い。少しばかりのジグザグの急坂を下る。右手の樹林の間から下の方にぼんやりと見えるように思うのは、中禅寺湖だろうか。
 細い急斜面の下りにかかるところで、前方から登山者が列をなしてやってくる。わきに除けて、通り過ぎるのを待つ。一人一人が、挨拶をして通り過ぎてゆく。14人。中年のようにみえる人から、アラカンくらいの人たち。男性が二人いたが、息が苦しそうだ。末尾は年配の女性。リーダーだろうか。「どちらから?」とカミサンに声をかける。少し言いよどんで「埼玉からです」と応じると、「私たちは千葉。」と肩をすくめるようにして笑う。コロナの移動自粛を気にしているのだとわかる。駐車場の車も、宇都宮ナンバーととちぎナンバーであった。帰るときに横浜ナンバーが1台止まっていたが、これは山ではないかもしれない。
 
 12時に下山。さかさかと帰途に就く。立ち寄ろうかと思っていたとんかつ屋は、外にも人が順番待ちをしていた。いろは坂を下って古川電工の工場近くにある中華料理屋「幸楽」に行く。ほぼ地元の工事服を着た人たち。レバニラ炒めと麻婆ラーメンを頼んで、待つ。窓は開けてある。お喋りは低声だ。食べ終わると、何人かずつ工事用車両に乗り込んで、それぞれ別の方向へ向かって行った。
 食事を終え、高速をつかって帰ってきた。スーパーで買い物をして、ガソリンも入れて3時帰着。まことに順調であった。
 こうして、雨の奥日光が終わった。梅雨明けではなかったが、雨の戦場ヶ原や湯元も夏の風情としては悪くない。人も閑散として、夏休みという気配がなかった。それがまた良かった。

0 件のコメント:

コメントを投稿