先日お話しした超モダーン・システムの病院へ、昨日(2/15)検査のために行ってきた。運動負荷心電図をとるという。上下が分かれた運動着で来てくださいと指示があった。あいにくの雨だったこともあって、車で向かう。Tシャツだけでは寒かろうから、長袖のアンダーウェアの上にTシャツを着こんで、ダウンウェアを羽織るとちょうど良い。駐車場の入り方は教えてもらっていたので、さかさかと地下へ入り、エレベータで受付へ向かう。
診察カードを受付け機械に入れるとペーパーが吐き出され、私がどの予約外来へ行き、指示を受けるかが印刷されている。その外来でも診察カードを入れる機械があり、そこから何番区域の前で待てとプリントされたペーパーと受診番号を印刷した小さい紙が吐き出される。診察区域前の壁のモニターには、部屋番号と診察番号が表示され、どこへ入室するかが一目でわかるように小さい音とともに切り替わっていく。つまり、ここまで一言も言葉を交わさずに「流れ」、椅子に座って待つようになる。予約の20分前に来るようにとの「要請」はあったから、少しは待ったが、予約時間からほんの5分ほどの遅れで「運動検査室」に入った。
まず、「トイレは済ませましたか?」とアラサーの男性検査技師が問う。ついで「着替えます?」という。館内に入ったときすでに、ダウンウェアはリュックにしまっていた。検査室は待合室よりも温いかなと感じ、長袖を脱いでTシャツだけになる。
椅子に座った状態で、胸と肩の何カ所かにパッドを張り、コードを取り付ける。左上腕に血圧検査のベルトを巻き、「ルームランナーをつかったことはあります?」と訊く。ない、と答えると彼がルームランナーに起ち、ここに軽く腕をおいて、この床がゆっくり動き、徐々に速くなりますから、はじめは大股で、あまり後ろに下がらないように気を付けて、歩いてください、と説明する。「苦しくなったら止めますから、そう言ってください」と付け加える。彼からみると、私は完璧に老人なんだという口ぶり。それも、しかし、悪くは感じない。
山歩きをしているが、実は息が切れるほどになったことが、あまりない。もう5年以上も前になるが、脈拍を120まで上げて運動するのが良いと何かで教わって、ジムの自転車機械で試みたことがあった。だが、どうやっても100を超えてから、なかなか上がらない。110まで入ったが、120には到底届かなかったことがあった。そのときは、階段踏み機械に換えて、やっと120にもって行ったのだが、その後、息せき切って動くことをした覚えがない。苦しくなるのだろうかと不安であった。
ルームランナーに私が乗り、「そうそう、それでいいです。でははじめます」と検査技師が言い、部屋の離れた隅の机に向かう女性に目を向ける。彼女は電話でやりとりしながら、何かを書きこんでいる。目で彼を見て、うんと頷く。彼がスイッチを入れる。動き始める。女性が心電図計のまえに立ち、吐き出すペーパーをみている。それでこの方が医師だとわかった。
ルームランナーの前に取付けたモニターには速度、斜度、距離、時間が表示される。スタート時点の斜度は「10%」。100mの距離で10m上る設定だ。速度は「4km/h」。おや、時速4kmってこんなに速かったっけと思う。なぜだろう。ふだん平地を歩いているときはおおむね5km/h。こんなに速くは感じない。斜度があるからだろうか。
「少し斜度を換えます」と検査技師が言い、「13%」になる。でも、それほど負荷を感じない。
「速度を上げます。10秒後に速くなります」と告げ、「5.5km/h」になる。大股だったのが小幅にステップを刻むようになる。いつもこの程度の速さで歩いていると思っていたが、こんなに速かったっけと、意外感が強い。しばらくすると、呼吸に負荷がかかる。なんだ、まだ5分しか経過していない。こんなことでは山を登るどころじゃないなと思う。
「大丈夫ですか?」と、検査技師が訊く。だいじょうぶです、と答えながら、こんな感じって、いつ以来だろうと、わが身を振り返る。
また「斜度を換えます」とコールがあり、「16%」になる。三角関数のサインが0.16って、角度は10度になるのか、ならないくらいかと埒もないことを思う。だがマスクをしているせいじゃなく、呼吸が激しくなる。また「大丈夫ですか」と聞かれる。だいじょうぶ。こんな程度で終わってたまるかと思う。
「速度を上げます」と検査技師が言う。「6.8km/h」になる。これは歩いてはいられない。ジョギングのように軽く走る。呼吸は確実に速くなる。息せき切るという感じが強まる。はあはあと呼気が激しくなる。いやまだ9分にならない。せめて10分までは頑張ってみようと目安の設定をする。脚の筋肉に疲労感が出てくる。でもこれって、白筋という瞬発力筋に関わっているんだろうか、それとも赤筋という持続筋に響いているんだろうか。斜度と速さの相関関係を、運動生理学ではどうみているのだろうと、思いが飛ぶ。
「ハイ、これで結構です。まもなく止まります」とコールがあり、速度が落ちる。9分45秒ほどの運動であった。「椅子に座ってお待ちください」といって、汗を拭くようにタオルを手渡す。汗を拭くというより、汗がにじむ程度であった。しばらく落ち着いたところで、また計ると思っていた。
医師は吐き出されたペーパーを診ている。私の方に顔を向けて「胸は何でもないですね」というから、「何でもないです」と応えたが、ひょっとすると、問いかけではなく診断だったのかもしれない。「呼吸と脚の疲れとどちらが大きかったですか」とも聞いた。「う~ん、同じくらいかな。どちらも八分方」と応えて、でもそれって、心電図と何か関係があるのかと思った。
呼吸がすっかり落ち着いたころ、「じゃあこれで終わりです」と検査技師が言い、貼り付けたパッドなどを取り除く。先ほどのタオルで胸などを拭いて着替えるようにという。検査終了のプリントを予約外来の受付へ提出するように言いながら手渡し、30分ほどで運動負荷検査は終了した。
今日の結果を聞く診察日の予約日時は、すでに決まっている。
車を地下駐車場から出すと、雨はあがっていた。風が強くなったろうか。4時を少し過ぎているが、陽ざしはまだ高い。そうか、冬至と春分とのちょうど真ん中あたりか。旧正月が過ぎて、文字通り初春になった。そんな気分になった。
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