一昨日(2/3)と今日(2/5)、二つの公園を案内してもらった。先日の、さいたま市西区の秋葉の森自然公園と同じ、師匠の探鳥地である。
一昨日の一つは、上尾丸山公園。今日のそれは、坂戸市にある浅羽ビオトープ。
上尾の丸山公園は、都市公園といおうか、児童遊園地や運動公園、遊具のある広場やバーベキュウ場まで設えられている森に囲まれた区域。荒川沿いに南北に2kmほど伸びる公園の西側には、並行して小川も流れる湿地がある。川の水は、目下、涸れ気味だが、葦や萱が生い茂り、その向こうには荒川の河川敷が広がっている。
坂戸の公園は高麗川の河川敷に広がる東西約2kmに広がる原野。いや精確にいうと、西の日高市から鶴ヶ島市を経て坂戸市に至る10km余の高麗川ふるさと遊歩道の一部だが、ビオトープという名の通り、自然保護地区のような景観を保っている。どちらかというと、見沼田んぼのトラスト地に近い感じの地域が、大きく広がっている。こちらは上尾丸山公園と違って、いつ行っても鳥数が多いということであった。
丸山公園を訪れたのは水曜日。すでに駐車場にはたくさんの車が止まっていて、子どもを連れた家族が遊具のまわりに群がっている。あるいは日当たりのいい広い芝生に敷物を敷いて、小さな子ども兄弟を遊ばせたり、滑り台を懲りずに何回も上り下りする子どもに付き合って、親も滑り降りたりしている。傍らを、ラジオをぶら下げて、のったりのったりと歩きまわるお年寄りもやってくる。ご近所の方なのであろう。
望遠カメラを持った鳥観の人も、何組か、先行している。コゲラがクヌギの木の幹に取付いて、木肌の溝をほじくっている。虫を見つけたのだろうか。木の幹に「虫取りをする人へ 掘った穴は戻してください」と書いた小さな標識が取り付けてある。カブトムシやクワガタの幼虫を取りに来る人がいるのだろう。下にみえる湿地の水が涸れかけている。今年は雨が少ない。それにこの公園は武蔵野の平地にある高台。水を供給するのは荒川だから、地下水をくみ上げでもしないと水はすぐに枯渇するのかもしれない。そういえば、思い出した。1970年のころ、4年ほど、この上尾に住んだことがあった。そのとき、ここの水は美味しいと言ったら、そりゃあここの上水道は地下水を汲み上げてっからだよと教えられたことがあった。関東北辺にふった雨や雪が関東ローム層とその上に降り積もった黒土に沁み込み、地下水となって大宮台地へゆったりと流れ込んでいるというのだ。表層を流れる川の水よりも、地下を流れる浸透水の方が水量が多いかもしれないと思った。
残った水路の水をのぞき込んでいるカワセミが一羽。それを遠巻きにしてカメラを構えている4人の人たち、それに背中を向けた師匠が指さすところの、入り組んだ枯木に身を隠すようにヨシゴイが背を向けてじっとしている。背に陽ざしを受けて日向ぼっこか。傍らの茂みを飛び交う小鳥がいる。出て来た。ヤマガラだ。色合いが美しい。
さらに先、じっと何かをみているカメラマンがいる。師匠が「あれ、なんだかわかる?」と指さす。頭が白い? わからない。「ほらっ、お腹にオビがあるじゃない」と言われて、ノスリだとわかる。私は視力が落ちているのか。カメラに収めておいたのを今見ると、たしかに、腹にだんだら模様がある。ノスリだ。近づいてシャッターを押す。ノスリはこちらを見下ろして、目が合ったように思った。
あら、富士山、と師匠が言うので目を上げると、遠方に、雲を少しからげた白い富士山が、霞に溶け込むように姿を見せている。良い日和だ。
端の方まで歩き、荒川をのぞき込んでから、中央の芝地でお昼にしようと引き返す。風が強くなった。水路を覗きこんでいるカメラマンがいる。みると、お立ち台に立ったカワセミが水面をにらんでいる。私もカメラを構えてシャッターを押す。ピンとは運まかせだから、ま、記録ってところだが、こちらを向いたカワセミの目がちゃんと写っていた。
お昼を済ませ、帰路を歩く。少なくなった池の一羽のカワウが陽ざしを受けて青光りする羽根を広げている。普段見ているウと違い、威勢の良さがみなぎっている。ダイサギがいた。脚で水中をかき混ぜては、覗き込んで、ときどきくちばしを差し込み、小魚であろうか、虫であおろうかを啄ばんで呑みこんでいる。少し離れたところの石垣に身を寄せるようにコサギが佇んでいる。池中央の噴水台の上にアオサギが乗って周りを睥睨しているようだ。
この上尾の丸山公園でみた鳥の数が少なかったので、昨日(2/5)に浅羽ビオトープへ案内してくれたというわけであった。
上尾よりはちょっと遠い。倍くらいの時間がかかる。上尾から川越に向けて荒川を渡る開平橋を超えると、橋の上から西側の山が一望できる。左の方に雪をかぶった富士山、中央にはっきりかたちがわかるのは武甲山、そして右の方には、やはり雪をまとった浅間山が一目に収まる。やあ、すごい。これをみただけで、この道を走った甲斐があったというものだ。
どこを走ったかは、naviまかせで分からない。ビオトープ近くの浅羽野小学校を目印にしていたが、その近くで師匠が、ああ、あそこよ、と指さす所に何台かの車が止まっている。ビオトープ駐車場とあり、トイレも設置されている。
たぶん高麗川の土手を超えて河川敷に入る。ビオトープを紹介するイラスト看板には「国土交通省荒川上流河川事務所」とある。へえ、荒川と高麗川は関係があるのかと思う。この高麗川の下流には越辺川がある。一昨年の大雨によって越辺川が氾濫し、老人ホームが浸水被害を受けたのではなかったか。「こまがわふるさとの会」が活動報告の新聞を掲示している。その脇に「武蔵野銀行緑の基金、セブンイレブン記念財団、武州入間川プロジェクト」の協賛団体が名を連ねている。なるほど、こういった人たちの支援を得て、ボランティアがビオトープを管理しているのだなと分かる。見沼田んぼのトラスト地と同じだ。
高麗川の本流と並行して、そこから分流している細い川がビオトープの中を流れている。その水流も少なく、下流でついに伏流してしまい、本流に合流するところで水面が現れている。川に挟まれたところの灌木の下地に鳥影が動く。みると目の周りを白くしたガビチョウだ。いつもは賑やかな鳥だが、落ち葉をつついて何をか啄ばんでいる。ダイサギがいる。師匠が足の色に注目しろという。人肌色をしていてアオサギほどに大きいのをダイサギ、これまでダイサギと呼んでいた、それより少し小さく脚の黒いのをチュウダイサギとして区別するようになったと教えてくれる。
シメがいる。イカルの群れが右手の林から現れ左の灌木へ飛び移る。シロハラの声がする。木の枝をカシラダカが飛び交う。茂みに現れた小鳥に陽ざしが当たり、縞模様の入った黄色い腹を見せつける。マヒワか? 師匠に告げてそちらを指さしたときには、もう飛び去っていた。いても不思議ではないけど…と師匠は、慎重だ。帰宅して図鑑をみるとマヒワもそうだが、アオジも縞模様のある黄色い腹をしている。でも、正面から腹を撮った図鑑の写真は、どちらもなく、判別が出来なかった。
ベニマシコが対岸の茂みの中にいた。これも、私だけが見て、師匠はみていない。赤い腹をみただけなので、これも同定できていない。ま、慌てず、ぼちぼちと憶えていこう。カワラヒワが枝から飛びさる。細い川から離れ、高麗川を下にみながら西へと歩く。ジョウビタキが枯木の突端に止まる。アオジが現れる。シジュウカラが飛び交う。セグロセキレイが、河原を行き来している。キジが3羽、声を立てて飛び上がった。
おっ、畑がある。ビニールの覆いをかけて何かを栽培しているようだ。少し先に看板が立ててある。「この場所は国道交通省が管理している河川区域(国有地)です。この場所を耕作することは河川法**条に違反します。撤去してください。云々」と書いてある。ビオトープの管理をしている「こまがわふるさとの会」と(この畑の耕作者とは)どういう関係にあるのだろうか。私の感覚では、いいじゃないか。(国土交通省が必要となれば)いつでも壊して撤去すればいいと思うが、そうもいかないのだろうか。公平平等に反するって言っても、何も手をつけないで放棄地にしておくよりは、なにがしかの耕作をしている方がいいじゃないかと思うが、何かまずいか。
エナガも現れた。カシラダカが草地の何かを啄ばんで群れている。イカルが小川に水を飲みに来て群れている。と思うと、林の中の草叢に降りてちょいちょいと嘴を動かしている。おっと、その左の方にはカメラを持った鳥観の人が二人、じっと佇んでいる。
お昼を済ませて、東の方へ行ってみる。すぐに行きどまる。小川を渡り、土手と小川のあいだの踏み跡をたどる。向こうに関越道の橋が架かり、通過する車の音が轟轟と響いてくる。ハクセキレイが2羽、縺れあって飛び遊んでいる。
高速道の橋の下を超えると、水辺にシギがいる。師匠はクサシギよという。イソシギがよく目につくが、首のところに食い込みがあるかないかをよく見てねという。私の双眼鏡では見えない。カメラに収めたが果たして、それを観察できるようにとれたかどうかは、わからなかった。
こうして、ビオトープの探鳥は終わった。おおよそ3時間半。ずいぶんいろんな鳥の、いろんな姿を観ることができた。
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