2021年2月3日水曜日

春立ちぬ

 節分と立春に1日のズレがあることを忘れて、一緒くたに考えていた。昨日(2/2)の陽気は、文字通り春が来た気配に満ちていた。

 朝8時ころまで降っていた雨が上がり、気温はどんどん上がる。10時ころ家を出たとき、空にはまだ黒っぽい雲がかかり、ひょっとしたら傘もいるかなと思わせたのに、帰ってくる頃には青空が広がっている。歩いていても、何がどうということではないが、お湿りを得た大地が温かさを寿いでいるように思えるほど、春の気配になった。いいねえ、この季節、と連れと言葉を交わしながら裏道を抜けて歩く。畑や苗木の植栽が目を覚ましたように感じる。竹林の脇を通るときには、もうタケノコが顔を出しているんじゃないかと覗き込むほどの気分であった。買い物ついでの散歩。

 汗ばむ。お昼前に帰宅し、お昼を済ませ、一休みしてから、もう一度、歩きに出た。30年前、この地に越してきたころうっそうと生い茂っていた森は切り払われ、幹線道路が敷設されている。その道沿いの広い部分は、土盛りをして沈むのを待っているのか、もう何年も裸地のまんまだ。中には囲いをして「工事中」の看板を掲げたまま、20年ほども経過しているところも。一体どうしたんだろう。

 県営団地にぶつかる。脇の道を西へ抜けようとしたが、一段低くなった細い水路沿いの工事をしていて、通行止め。水路に沿って南北に連なる耕作地の向こう側の住宅地とこちら台地側の住宅地を結ぶ通路が見つからない。南へ進路をとり、中学校にぶつかって行き止まり。もう一度、旧幹線道路に戻って西へ向かうが、ここも何か大きなホールのような建物があって、迂回して、旧幹線道路に戻ってしまう。大きな紙袋を下げた着飾った女の人たちが次々と出てくる。畑地を流用したような駐車場があり、何人かの整理用員がでて、交通整理をしている。何だ、この建物は。ぐるりと回って正面の入口の「監視所」にでる。どこにも、何も書いていない。掲示板に、よく意味の分からない「標語のような言葉」が書いてある。宗教団体なのか。それとも「内観」とか「精神修養」と呼ぶ、何かの集まりがあるのだろうか。

 旧幹線道路を渡って自宅の方へ向かう。浦和神経サナトリュウムの看板をみる。そういえば、40年ほど前、引きこもりの生徒の相談で、歌人でもあったここの医師に会いに来たことがあった。そのときは森の中という印象であったのに、今は新しい幹線道路から病院の建物の全容が見える。そうか、これだったのかとあらためて認識する。

 冷たい風が吹き込んでくる。見上げると、ちょうど頭上に黒い雨雲が広がる。南の風と北風がちょうどこの頭上でぶつかっているのだと思う。妙なことに、立春に向けて温かい節分が追い払われて、北風が吹きこんできたのだ。固定観念を吹き飛ばすような自然の所業。面白いと思った。

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