朝(7/30)8時半に宿を出て、湯の湖畔をひと巡りする。青空が見える。予報は雨だったのに、どうしたことか。南側の湖畔沿いに歩く。外山が迫り、木々が覆いかぶさるように茂るから、日差しは気にならない。昨年に比べて道はよく整備されている。去年は、一昨年の台風19号の被害がひどく、土砂崩れもあって、しばらく通行止めだったのが辛うじて修復され、一部は「通行注意」の状態であった。それが治っている。小さい子ども連れでも心配なく通れる。対岸の三ッ岳の山の緑を映して、静かな湖面も緑色に色づく。エンジン附きのボートが一艘、釣り糸をたれて浮かんでいる。何が釣れるんだろう。いまでも持ち帰りはダメでリリースするのだろうか。
ミソサザイらしき声が山側からする。昨日のキビタキの声にも似ている。湖の浅瀬の倒木のうえをキセキレイが飛び交う。大きなサカナの背びれがくらりゆらりと揺れて動く。双眼鏡で覗いてみると、コイが3尾のんびりと泳いでいる。足元は湿っている。夜にも雨が降ったようだ。
湯ノ湖の南側に近づく。溢れだした水が湯川となり、滝口へ向かってとうとうと流れ出している。巨木があり、樹の生い茂った岩が行く手を阻み、回り込むように木道と橋がかけられて、ここも変化に富んだ景観をみせている。湖に腹まで浸かって釣り糸を垂れている人が二人もいる。赤い実をつけたサクラの木が端の脇に顔を出している。ミネザクラかなと師匠が言う。白根山で小鳥が啄ばんでいたのも、こんな木の実だった。車道に出る手前で再び湖畔沿いの木道が続いている。
ゴミを入れる袋とゴミばさみをもった人が、木道の端に立ち止まってこちらの通るのを待っている。マスクをつけて「ごくろうさん」と言ってすれ違う。湖には小さい魚、少し大きい魚がそれぞれ群れになって泳いでいる。後ろから来た夫婦らしい一組が、追い越してゆく。私たちは兎島の方へ踏み込む。
鬱蒼と茂る樹々、苔むした岩や地面、高い所から鳥の声が聞こえる。中にはピーヒョロロと、トビの声も交じる。双眼鏡を覗くが、何処にいるのか姿は見えない。ノリウツギがそこここに白い花をつけて緑の森にハッとするようなポイントをみせる。
再び車道脇の木道に出る。この木道も、以前のに較べると広く新しい。湖の湯が沸きだしている硫黄の香りが強い所に来る。ゆらゆらと目玉おやじのようなまあるく白い中に黒い粒をもった植物が底の方から起ちあがっている。師匠は覗き込んで虫を探している。何でも、こんなところに巣くう虫がいるらしい。
ビジターセンターに行く。概ね1時間半も歩いてる。私は右の肩甲骨が張って来た。荷を降ろして、ベンチに座る。筋肉痛が出て来ている。珍しい。やはり3カ月半も歩いていないと、へたった筋肉も白根山の麓を歩いたくらいで、悲鳴を上げるようになったのか。
センター作成の今年の暦に、コマドリがガタイの大きなヒナに餌をやっている写真が添えられている。よくみると、ジュウイチの托卵したヒナがコマドリに餌をねだっているのだそうだ。大きいわけだ。
温泉寺の方へ行き、泉源の葦原をうろついている留鳥マガモがヒナを連れているのをみる。ツバメが巣をつくる土を運ぶのは初夏のころ。車に戻る。赤沼の奥、開拓村の方をひと回りして、いろは坂を下り、清滝の中華料理店へ向かう。いつも近くを通ったときはここに立ち寄ってレバニラ炒めを食べる。年に1回くらいなのに、顔なじみのような感触。「残したら持ち帰りにしてあげますから」と言ってくれる。それくらい分量が多い。しかもレバーは唐揚げにして、ビールのつまみにうまそうだ。
順調に浦和へ帰るが、羽生を過ぎたあたりから土砂降りの雨。前が見えないほど。車のランプをつけないと前を走る車両がわからないほど。だが、点けていない車が多い。後ろからのトラックに気をつけて走る。迫ってくると、脇へ避ける。高速道を降りたあたりで小降りになった。
荷物を降ろしていると、脚の筋肉がこわばっているのが、わかる。恢復中なのだと思うと、なんとなくうれしい。リハビリトレーニングらしい奥日光であった。
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