2022年7月13日水曜日

そぼ降る雨に見送られ

 自転車置き場の屋根を叩く雨の音が夢心地に響く。久々の本降りだなと思うが、目は覚めない。病院までどう行こうかとぼんやりと思案する。明日の手術に備え、今日は午前中に入院の日。術後の退院も「やってみなければわからない」と医師は3日はみておけという。しかも(私が尋ねたからだが)、その後一ヶ月は温泉はダメと口調が強い。

 手掌の手術にどうしてこんな大げさなと思っていたが、手術時間は2時間、全身麻酔、筋縮している小指の腱には神経や毛細血管がまとわりついていて、それを手術のときに傷つける可能性もあると聞かされ、容易じゃないことだけは伝わってくる。そう分かると、手術なんかするんじゃなかったかなという思いが浮かびあがるが、いまさら止めますとは言えない。そこへ加えて、医師は「なぜ筋縮が起こるかはよく分かっていないが、突然痛みもなく発症して、気づいたら筋縮が広がっていることがある」と、小指以外の部位を触診して親指の方にもその予兆があると呟く。それも今回切開したときに様子を見てみるというから、ますます只事ではないという気配が濃くなる。

 朝風呂に入ってから来いとか、爪を切ってこいとか、シャンプー・ソープ、おむつを一組もってこいとか、いろいろと指示が多い。去年山の遭難事故で入院したことがなかったら、慌てふためくところだ。だが、パジャマや手術用の浴衣はレンタルもあります、おむつも売店で一枚だけ売ってくれますと記されている。寒い季節じゃないから、ほんとに往き来の衣服と下着何枚かだけを用意して持ち物は簡素そのもの。

 自転車で行こうと思っていたが、医師は「車とか自転車は、最初から用意しない方が良い」と、手術の結果をみてからと慎重であった。近くの駅からバスで16分。タクシーに乗ればとカミサンは言う。だが、タクシーを使ったりするとほんとの病人になるような気がする。ネットを見ると、午前中は降水確率は60%だが降水量はゼロ。外へ出てみると雨は上がっている。バスで行くことにした。

 入院時に付き添いが必要と「入院案内」にあったし、入院案内看護師はどなたが来るかと聞く。だが担当医師は、来なくていいですよという。来てもコロナもあって部屋には入れないし、面会も出来ない。こういう現場医師の判断は、なんとなく好ましい。信頼というのは、こんな些細なことから紡ぎ出されるのかもしれない。

 さてそういうわけで、これから荷造りをしてシャワーを浴びる。パソコンは持っていくが、wi-fiが使えるかどうかは分からない。いつ退院できるか分からないというのは気に掛かるが、ま、成り行き任せ。ひともすなる手術というものをわれもしてみんとて、行ってきます。

 このブログも、したがって、退院してくるまでお休みです。ではでは。

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