2022年7月30日土曜日

身体を毀傷せざるは

 指の包帯がとれたばかりか、出来るだけ(かつての)日常動作をすることがリハビリだと思って、痛みが走らない程度にそろそろと習慣を取り戻そうとしている。

 昨日は、心臓エコーの検査をする予約日だったから、バスでなく自転車に乗った。ところが、左手でハンドルを摑むことが出来ない。辛うじて(痺れていない)親指と中指でハンドルを摘まむだけ。むろん力は入らない。畳の上で片足立ちをして、指を軽く椅子に置くだけでバランスがとれるが、そのときの指の働き程度しか出来ないことが分かった。

 ところが、自転車というのは、両手のしっかり摑む力があってはじめて乗るところから降りるところまで出来るんだね。乗り降りを片手でやるのはまことに難しい。広い道路を渡ろうとしたとき、ずうっと向こうから車がやってくるのが見えた。やり過ごそうと止まったら、そのまま左へ倒れかかってしまった。片足は付いていたから自転車だけが倒れ、体は傾いただけで済んだ。彼の車は横断歩道の手前で止まって私が通り過ぎるのを待っている。いやはや、年寄りが自転車にも乗るのも危なっかしいねと思っているだろうな。そう思いつつ頭を下げ、押してわたった。病院までは約5キロ。ほとんど静かな住宅街を抜ける道だから、車に出遭う気遣いはそれほどない。部活の中学生がぞろぞろと固まって歩くのが、ちょっと面倒だったな。

 心臓エコーの検査のとき半袖シャツを着脱するのに、ボタンを外す付けるのに、時間がかかる。検査技師にそう告げると、「いいですよ急がなくて」と年寄りのあしらいを心得ている。いつもの診察なら(予約時間に行っても)1時間は待たされる大病院なのに、検査だけのせいか、予約時間前に行ったら直ぐに呼び出され検査が始まり、30分ほどで終わった。検査結果はまた10日ほど後に予約がある。

 暑い日差しの中を帰ってきたが、夕方になって珍しく腰が怪しくなった。いつもなら山に行くときとか車を長時間運転するときだけ着ける腰痛ベルトを山用具から取り出して、付けている。今朝起きてからも怪しさは変わらない。これも自転車に乗ったせいだろうか。

 身体毀傷せざるは幸のはじめなりと思ってきたのに、ひともすなる手術なるものをわれもしてみんとてしたのが、祟っているのか。習慣性の日常から離脱するのが価値ある振る舞いと昨日言ったばかりなのに、もうそんな弱音を吐いて、波風立たない日常習慣を懐かしがっているなんて、なんとだらしないという声も聞こえる一方で、歳を考えろよ歳をと身が呟いている。

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