2022年11月30日水曜日

遅いも遅いよ、河野クン

 河野デジタル担当大臣が「マイナンバーカードの義務化」ということを「保険証」について言った。何をいまさらと、私は嗤っている。そもそもマイナンバーカードは、そのためじゃなかったろう。税金の効率的把捉のためじゃないか。むろん、全国民の社会保険制度ができている日本なのだから、保険証と一本化するってこともおかしくない。だが本末転倒ではないか。

 いやもっと本末転倒と思うのは、国民がマイナンバーカードを所持するその前に、行政システムを完全にデジタル化しておかなくちゃならないじゃないか。それなのに、明治以来の「文書主義」を、コロナウィルス時代になっても貫き通しているから、全国の状況把握さえ、スムーズにできない。それどころか、お役所の所管事項の監理さえきちんとできていないことが、実務的な場面でぽろぽろとこぼれ出てしまった。

 私ら庶民は、こうなって初めて、やっぱりそうなんだ。お役所って、エラソーにああだこうだと言っていたが、中味はスカスカ。外面ばかり取り繕って、知事や議員や有名人には気遣いするが、下々にはエラソーに権限を振り回すだけ。ちっとも戦前と変わっていない。マイナカードがそもそも目指していたのは、税収の元になる所得の全量把握をするためなんだろう? 猫の首に鈴をつけるのを躊躇って、保険証からってのが、まずお笑いだよね。やっぱり「経済脳」でしか考えられないから、金持ちの首に鈴はつけられないのかい?

 河野大臣は気づいていないだろうが、大枚2兆円ものご褒美付きでマイナンバーカードが広まったと思っているかもしれないが、馬鹿にするんじゃないよ。私ら庶民からすると、何だこんなことに税金使いやがってと、せめて税金を取り戻そうとしてカードを作っただけよ。

 個人情報満載の大切なマイナンバーカードを保険証みたいに持ち歩いて、病院やクリニックへ行く毎に出し入れするなんてアブナイことをするのが良いとは思わない。でも、マイナ保険証だと初診料は安くなるよと耳にしたものだから、クリニックへ行くと「使えるの?」ときく。どこもここも、いまのところ全部ダメ。そもそも「紐付け」したはずの「保険証」情報がクリニックに届いていない。それにみているとわが主治医は、相変わらず手書きの「カルテ」だよ。古くからの「私の体調記録」らしく、「*年前に急性心筋梗塞で市立病院へいったね」などと書き込んである。山歩きをしているということまで書いてあるようだ。ま、私より一回り若い医者だから看取ってくれると信頼しているけどね。マイナ保険証でなくても、十分アナログで主治医は務まっていますよ。

 そもそもデジタルを構想するのであれば、アメリカがゴア副大統領の時に全土にネットワークを敷き整えたように、国家が命令するに相応しい体制転換のインフラ整備を大がかりにやらなくちゃあダメでしょうが。それを、民間の競争に任せて整備しようなんてケチな了見を起こすから、いまだにNTTだKDDIだyafooだとアンテナ争いだけで。ずいぶんとつまらない費用を庶民は大手企業に支払う羽目になっている。

 もともとそれが狙いといえば、ま、それはそれで達成されているわけだけど、その分、お役所のデジタル化の方は、遅々として進まず。だって、アナログで十分やっていける程度の規模の地方自治体は、大枚はたいて、中央政府の情報収集に協力するいわれはないわよっていいたいくらいじゃないかしら。

 今ごろ「マイナカードの義務化」をいうのが、如何におかしいか。このブログでも1年前に愚痴をこぼしている。

《「失われた*十年」の意味すること》(2021-12-14)

《経済脳になってしまった統治》(2021-12-16)

 と更にその1年前の

《進む技術、遅々たる社会的手順》(2020-12-13)

 では、30年前の仕事現場でもデジタル化のことを記している。

 そうやって振り返ってみると、このブログを始めてからも16年目に突入している。私がeメールアドレスを取ってから30年ほどになるか。私に遅れるようでは、ホントに日本のデジタル化はダメだよ。お粗末だよと、わが身のアナログ育ちにつくづく閉口しながら、思っている。ホントだよ、河野クン。

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