2020年5月27日水曜日

「解除」後の世界


 今日カミサンに植物案内のオファーがあって、荒川河川敷へ送っていった。「自粛要請」中に何度か出かけたところだから、どれくらい時間がかかるか、おおよその見当はついていたつもりであった。ところが、おやっと思うほど、車が混んでいた。むろん、コロナ以前ほどの混みようではないが、然るべきところは渋滞気味であった。何より前を入るバスが、停留所の一つひとつで止まる。駅へ向かう通勤客が待っているのだ。「自粛要請」中は、バスに乗る人もそれほどおらず、バスはさかさかとすすんでいたのに。
 荒川河川敷の車を止めるところも、1台止まっていただけ。自粛中にはずらりと並んでいた車は、もうお休みが終わったというのであろうか。土手の上を走る人の数も、明らかに少ない。秋ヶ瀬の森の中を散策する人の数は、明らかに少ない。私が出会ったのはわずか3人。

 
 草を刈る作業員の姿が目立った。昨年秋の台風による洪水で、この河川敷は土砂と流木に覆われてしまった。「栄養たっぷりだかんね。草がよく伸びるよ」と茫茫に草が繁った野球場の草刈りをしていた作業員が笑う。昨年の台風の残した倒木や土砂は、まだ駐車場にまとめられて積み上げられている。それ以来公園に車は入れないままだ。「今年中に片づくかねえ」と、作業員は、また笑う。

 キビタキの声が森に響く。姿はみることができない。大きなスコープを担いだバードウォッチャーが「鳴いているのは3歳の雄だね」という。数日前に、この先で姿を見たと私がいうと、「ああ、それはもう山の方へ行ってしまったようだね」となかなか詳しい。この森の鳥にやたら詳しい人がいるのよと、後でカミサンが話してくれた。この方によると、サンコウチョウの雌もいるらしい。河川敷の田植えの終わった田圃にアマサギが1羽、チュウサギ2羽と一緒に餌をつついている。オオヨシキリは相変わらず、にぎやかに鳴き交わす。
 
 一巡りして、カミサンが案内をしている田島ヶ原に行った。遠くから案内しているのが見える。3人に何やら説明している。その人たちは自転車で桶川や上尾、蕨市からやってきたらしい。3カ月ぶりのガイドに、カミサンは大喜びであった。ガイドを希望した彼女たちは、しかし、ノートをとるでもなく、こういう場所で植物の話を聞けるのが楽しいという風情だったから、気楽だったとカミサンは、肩の荷を下ろしたようであった。雲が張り出し、陽ざしを和らげてくれて、過ごしやすかった。 田島ヶ原の人影も、遠方に二人歩いているのを見たくらい。やはり格段に少ない。もう「自粛外出散歩」は終わったのかもしれない。

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