2022年2月14日月曜日

娘への誕生祝いのメッセージ

**さま

 誕生日おめでとうございます。49歳。いよいよ大台に迫りましたね。体調は順調でしょうか。

 次男坊も、この春から独り立ちすることになるでしょう。素直な子に育ち、良かったですね。私たちも爺婆として、彼のこれからの成長を楽しみにしています。

 でももうこれからは、親のいうことなどに構わず、自分の意思を通して生きていくことになります。寄り沿うことも無用となって、ま、黙ってみているしかありません。

 親も、子どもの世話から離れて、自律しなくてはならないってことですね。

 長女も、もう14歳。そうなると、もう親の言葉を聞き入れることもなくなります。寄り沿って傍らで見ているしかありません。

 これも、そろそろ親が自律しなさいよというサインを出しているようなものです。

 あなたたちもここまで、子ども3人を育て、よく頑張りました。そろそろ自分と連れ合いとの暮らしを考えながら、ゆっくりと準備をはじめていく時期になります。

 仕事の方も職場では、歳が歳だけに中堅の役割があるでしょう。あなたも一郎さんも、そう容易に、身軽には振る舞えないことと思います。

 ですが仕事を離れたとき、あるいは、仕事は仕事、それ以外に夢中になって日々を過ごしていける何かをもっていることが、人生には必要になります。何しろ(私たちの場合60歳の定年で)リタイアしてから今までで、すでに19年になります。あなたたちの人生は90歳から100歳と言われていますから、65歳で退職したら優に30年以上あります。

 昔、私が小学生の頃の日本人の平均寿命は五十歳でした。私は1942(昭和17)年生まれですので、21世紀はみられないと単純計算して思っていましたから、2001年を迎えたとき、ああ、この後は天から授かった「おまけ」、余生だと思ったものです。

 60歳の定年を迎えたとき、さて何をして生きていこうかと、ちょっとオロオロとしました。そのとき十歳年上の友人が「結局自分の得意技で生きていくしかないよ」といったのが、印象に残っています。私の得意技? 文章を書くというおしゃべりと山歩きでした。

 結局それで、それから19年という年月を過ごしてきたのです。

 あなたたちは昔風に数え年でいうと五十歳、満年齢でいったらあと一年で人生の半分が終わります。後の半分の、ことに仕事を終えて後の生きる得意技を準備するのが、始まるというわけですね。

 そういうときにコロナウィルスというとんでもない災厄が襲いかかっていて、息苦しい時代ではありますが、逆に言うと、これほど世界中の人たちが体験を共有することってのも、ないと思います。それは共に生きているという共通感覚に結びついています。ましてあなたは、医療の現場にいて、人々の生きようとする力をみているのですから、いわば人類史的な共通体験の中心軸を目の当たりにしているわけですね。

 ぜひ、人はウィルスとともに、決してめげずに新しい時代を切り拓くのだと考えて、頑張って百年人生を歩んでいって貰いたいと思います。

 連れ合いとともに、子どもたちとともに、いい時代をつくっていって下さい。

      2022年2月*日        父・母

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