久しぶりに坂戸市の浅羽ビオトープへ行った。高麗川の広い三角州を利用した自然保護区。駐車場には車が20台ほども止まっている。風もなく天気もほどほど。ここの静かなルートは恰好の探鳥や散策路だ。
枯れ木が多い。冬場は川の水も少ないから、蛇行が途切れて水溜まりになっている。今年はその水も、うんと少なくポツポツと散在している。10時というのに表面は凍っている。鳥が困るだろうと思う。コゲラが姿を見せる。メジロが飛ぶ。ベンチを跨いで二人の男が向き合って腰を掛け、将棋をしているようだ。近頃は夏でも、縁台将棋を見かけなくなった。
ツグミがいると、カミサンが指さす。河原に降りてぴょんぴょんと歩いて行く。何羽かの小鳥がツグミに驚いて小さい水溜まりから飛び立つ。アオジだと私がいうと、カミサンはカワラヒワだという。双眼鏡で覗いてみると、なるほどカワラヒワだ。その先へ行くとセキレイがいる。尾をピンピンと跳ね上げるように動かす。どっちだろうと双眼鏡を覗く。セグロセキレイだ。シメがいる。いつもならイカルがいるはずなのにとカミサンはいう。このビオトープはカミサンの馴染みの場所。日曜日は車でアプローチするのも楽だろうからと、私を案内してくれる。ま、山へ行けない私のリハビリのひとつというわけだ。
枯れ木を抜け、川筋の方へ向かう。風が強く、高麗川の本流の流れが風で波打っている。対岸の草叢を歩く人がいる。こっちから向こうへ渡ったのだろうか。カメラを構えた人が川中の何かを写そうとシャッターを切っている。カメラの方向を双眼鏡で追うが、何かわからない。カミサンが、川の対岸の手前をジェスチャーで示す。双眼鏡を覗くが、わからない。「ん?」と目で言うと、キセキレイと口を動かす。そう言われてみると、水と川縁の石の間にキセキレイを尾を振って歩いている。カメラマンは、まだカシャカシャとシャッターを押している。
さらに西の方へ向かう。高麗川がどっちへ向けて流れているか、風の所為もあってわからない。おおっ、畑がある。「不法耕作よ」とカミサンの声は少し尖る。「でも耕作放棄よりいいよ」と返す。植え付けた葱は小さいのが、水が足りないのか、消え入りそうに土から背を伸ばしている。白菜だろうか、身を寄せ合ってつぼまるどころか、ペロンと力なく開いて、とても食べたい気配を見せていない。キャベツが大きく丸まって様になっている。不法だろうと何だろうと、これなら食べることができる。
ダイサギが対岸の木の中段に止まっている。それが飛び立つ。曇り空に白い羽ばたき生映えて美しい。その後、ダイサギが右へ、左へと飛ぶ。何だろう。これほどのサギが飛び交うのは、渡りの時以外は、珍しい。
最西端にはグランドがある。野球チームだろう、トンボを使って整備をしている。その外野を辿って下へ戻る道へ向かう。おっ、スズメガいるとカミサンが言うので双眼鏡を覗く。わからない。と、カミサンがあれはカシラダカ、と訂正する。みていると6羽いる。いや、7羽だ、いや9羽だ、といっているうちに、左から飛び込みもあって10羽になる。と、右から人がやってきてパッと飛び立つ。十羽以上が群れになっている。やってきた人は鳥は眼中になく、カシラダカがいた辺りをずいずいと歩いて通り過ぎる。
再び岸部に出て、しばらく歩く。シジュウカラがいる。シメもいる。エナガが何羽か出入りする。ホオジロがペアリングしているのか、2羽で止まっている。
こうして1時間半ばかり歩いて、ベンチに座りお昼にする。ジョウビタキが目の前に姿を現し、萱に止まって大きく折れ曲がり元へ復する揺れ動きを楽しんでいる。今日観たジョウビタキは、しかし、みな雄ばかりであった。どうしてだろう。見沼田んぼでみるときは大抵がメス。そんなに地域差があっていいのだろうか。
2時間半ほどを過ごして帰途についた。鳥はそう多くはなかったが、気持ちがいい散歩であった。早春の気配を感じてきたようであった。
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